第6章 公安の維持と災害対策 

第3節 公安情勢と対策

1 オウム真理教の動向と対策

(1)オウム真理教の動向

オウム真理教(以下「教団」という。)は、麻原彰晃こと松本智津夫への絶対的帰依を強調する主流派(「Aleph(アレフ)」)と松本の影響力がないかのように装う上祐派(「ひかりの輪」)を中心に活動している。

主流派は、依然として松本を「尊師」と尊称し、同人の「生誕祭」を開催しているほか、肖像写真等を拠点施設の祭壇等に飾るなど、同人への絶対的帰依を強調する「原点回帰」路線を強めている。

一方、上祐派は、同派のウェブサイトに旧教団時代の反省・総括の概要を掲載して、「松本からの脱却」を強調するなど、松本の影響力がないかのように装って活動しているほか、著名人との対談やマスコミ取材を積極的に受け入れるなどし、「開かれた教団」のアピールに努めているが、依然として、松本及び同人の説く教団の教義を基盤としているものと認められる。同派は、今後も無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく観察処分の適用回避に全力を挙げるものとみられる。

 
図表6-9 オウム真理教の拠点施設等(平成25年12月31日現在)
図表6-9 オウム真理教の拠点施設等(平成25年12月31日現在)

(2)オウム真理教対策の推進

平成24年に全てのオウム真理教関係警察庁指定特別手配被疑者を逮捕し、これまで全国警察を挙げて推進してきた追跡捜査が終了した。

26年1月には平田信の裁判が開始され、同年3月7日、東京地方裁判所は、逮捕監禁罪等で平田信に懲役9年の実刑判決を言い渡した。

警察は、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、引き続き、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進しており、25年2月、公安調査庁職員に対する公務執行妨害事件で主流派出家信者2人を検挙した。また、教団施設周辺の地域住民や関係する地方公共団体からの要望を踏まえ、地域住民の平穏な生活を守るため、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒警備活動を実施しているほか、地下鉄サリン事件等教団による一連の凶悪事件に対する記憶の風化を防止するとともに、教団の現状について適切な理解を得るため、各種機会を通じ、教団の現状について広報活動を行っている。さらに、教団の組織的違法行為に対する検挙や警戒活動等教団に対する警察の取組について、住民や地方公共団体等に対して積極的に情報を発信している。

 
オウム真理教拠点施設の捜索状況

オウム真理教拠点施設の捜索状況


 第3節 公安情勢と対策

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