第6章 公安の維持と災害対策 

2 大量破壊兵器関連物資等の不正輸出等の取締り

(1)大量破壊兵器関連物資等の不拡散についての国際的な取組

平成25年6月のロック・アーン・サミットでは、大量破壊兵器等の拡散に関し、「大量破壊兵器及びそれらの運搬手段の拡散の防止は最優先事項である」(大量破壊兵器等の)拡散は、国際的平和と安全に対する大きな脅威である」などとする声明が採択された。また、同年7月には、IAEA(国際原子力機関)の主催で核セキュリティに関する初めての閣僚級会合である「IAEA核セキュリティ国際会議」が、オーストリアで開催された。同会合PSI阻止訓練における容疑物資の検査には、我が国を含む34か国から閣僚レベルが出席し、「核セキュリティ関連活動等における全てのIAEA加盟国の関与の必要性を強調する」、「自発的に高濃縮ウランの使用を更に最小化し、低濃縮ウランを使用することを奨励する」ことなどを内容とする閣僚宣言が採択された。

警察では、大量破壊兵器関連物資等の拡散が国際社会における安全保障上の重大な脅威となっていることを踏まえ、各国が主催するPSI(注)阻止訓練に都道府県警察のNBCテロ対応専門部隊を派遣するなど、国際的な取組にも積極的に参加している。

注:Proliferation Security Initiative(拡散に対する安全保障構想)の略。国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器関連物資等の拡散を阻止するために、国際法及び各国国内法の範囲内で、参加国が共同してとり得る移転及び輸送の阻止のための措置を検討・実践する取組のことで、102か国(平成25年12月末日現在)がPSIの基本原則や目的に対する支持を表明している。

 
PSI阻止訓練における容疑物資の検査

PSI阻止訓練における容疑物資の検査


(2)大量破壊兵器関連物資等の不正輸出に対する取締り

警察では、我が国からの大量破壊兵器関連物資等の不正輸出に対する取締りを積極的に推進しており、平成25年12月までに、不正輸出事件を30件検挙している(うち25年中は1件)。

また、これまで検挙した事件において、第三国を経由した迂(う)回輸出や摘発逃れを目的とした輸出名義人の偽装等の実態が確認されるなど、犯罪の手口が今後更に悪質・巧妙化していくことが懸念されており、警察では、国内外の関係機関との緊密な連携等を通じて、大量破壊兵器関連物資等の不正輸出に対する取締りを更に徹底することとしている。

(3)対北朝鮮措置に関係する違法行為の取締り

警察では、対北朝鮮措置に関係する違法行為に対し、徹底した取締りに努めており、平成25年12月までに、計30件検挙している(うち25年中は5件)。

事例

貿易会社経営者(62)は、21年6月18日から北朝鮮を仕向地とした全ての貨物の輸出禁止措置がとられていたにもかかわらず、24年6月、ニット生地(総額約170万円相当)を、経済産業大臣の承認を受けないで、中国を経由して北朝鮮に輸出した。25年2月、同経営者を外国為替及び外国貿易法違反(無承認輸出)等で逮捕した(大阪)。


 第2節 外事情勢と対策

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