第4章 組織犯罪対策 

2 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況

マネー・ローンダリングとは、一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法においてマネー・ローンダリングが罪として規定されている。

マネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、図表4-20のとおり、増加傾向にあり、平成25年中は282件(前年比33件(13.2%)増加)であった。このうち、暴力団構成員等によるものは85件で、全体の30.1%を占めている。

25年中における暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが19件、売春防止法違反に係るものが19件、覚せい剤取締法違反に係るものが10件、ヤミ金融事犯に係るものが7件となっているが、その他にも賭博に係るものなどがあり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリングを行っている実態がうかがわれる。

また、25年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は21件であった。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリングの対象となるもの

 
図表4-20 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成16~25年)
図表4-20 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成16~25年)
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事例

山口組傘下組織幹部の男(45)らは、24年6月から同年12月までの間、売春による犯罪収益であることを知りながら、配下組員らが経営する派遣型売春クラブの収益から現金合計約1,600万円を受け取っていた。25年5月、同幹部ら6人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で逮捕した(福岡、大分)。


 第4節 犯罪収益対策

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