第4章 組織犯罪対策 

2 薬物対策

(1)供給の遮断

我が国で乱用されている薬物の大半が海外から流入していることから、これを水際で阻止するため、税関、海上保安庁等の関係機関との連携を強化するとともに、外国の取締機関等との情報交換を緊密に行っている。

また、インターネットを利用した薬物密売事犯対策として、サイバーパトロールやIHC(注1)からの通報等により薬物密売情報の収集を強化し、密売人の取締りを推進するとともに、インターネットを利用した薬物密売事犯を検挙した場合は、サイト管理者等に対して警告及び再発防止指導等を行っている。

さらに、薬物犯罪組織に資金面から打撃を与えるため、麻薬特例法の規定に基づき、業として行う密輸・密売等(注2)やマネー・ローンダリング事犯(注3)の検挙、薬物犯罪収益の没収・追徴等の対策を推進している。

注1:112頁参照

注2: 通常の密輸・密売等より重く処罰することができ、また、一連の行為を集合犯としてとらえ、その間の薬物犯罪収益総体が没収・追徴の対象となる。

注3:139頁参照

(2)需要の根絶

薬物の需要の根絶を図るためには、社会全体に、薬物を拒絶する規範意識が堅持されていることが重要である。警察では、薬物乱用者を厳しく取り締まるとともに、広報啓発活動を行い、社会全体から薬物乱用を排除する気運の醸成を図っている。平成25年には、薬物乱用防止のためのパンフレットを作成し、全国の学校等に配布したほか、薬物乱用防止教育を実施した。

また、警察では、薬物事犯で検挙された者やその家族等の希望に応じて、薬物乱用防止のための基礎的な知識や相談先等を記載した資料を配付し、薬物再乱用防止に関する必要な情報提供を行っている。

 
薬物銃器犯罪根絶の集い

薬物銃器犯罪根絶の集い


コラム⑥ 匿名通報ダイヤルの運用

匿名通報ダイヤルは、警察庁の委託を受けた民間団体が、国民から一定の犯罪等に関する匿名の通報を電話又はインターネットにより受け付け、事件検挙等への貢献度に応じて通報者に情報料を支払う制度である。警察庁では、平成24年4月から、匿名通報ダイヤルの対象として、薬物・拳銃事犯や暴力団が関与する犯罪等を追加し、組織犯罪全般に関する情報提供の促進に努めている。25年中の通報件数は8,504件(前年比5,197件(157.2%)増加)であり、薬物・拳銃事犯に関する通報は全通報件数の15.5%(対象事案に関する通報件数の43.3%)と、最も高い割合を占めている。25年中の通報のうち、事件検挙等への貢献が認められたことにより情報料を支払った件数は、26年3月末現在、7件である。

 
匿名通報ダイヤルの広報ポスタ―

匿名通報ダイヤルの広報ポスタ―


 第2節 薬物銃器対策

前の項目に戻る     次の項目に進む