第3章 サイバー空間の安全の確保 

警察活動の最前線

インターネット回線の向こう側には

埼玉県警察本部生活安全部サイバー犯罪対策課

中村 和貴(なかむら かずき) 警部補

 
ポッポくん

ポッポくん ポポ美ちゃん

 
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「貴方が罪を犯したのはインターネットの世界ではない。インターネット回線の向こう側には現実に泣いている人が存在する」

これは、インターネット上に偽サイトを作り、クレジットカード情報等をだまし取っていた犯人に向けて私が発した言葉です。

サイバー犯罪の犯人の多くは、現実感の希薄さから、罪悪感を持たず、インターネットの匿名性を盲信し、安易な考えで犯罪に手を染めています。この犯人の供述からも、「こんなことぐらいで捕まるなんて」という軽い気持ちが感じられました。

しかし、サイバー犯罪は、パソコンが行う仮想犯罪ではありません。人が行う現実の犯罪なのです。

サイバー犯罪捜査においては、犯人を捕まえることはもちろん、犯人に「インターネット回線の向こう側は現実世界である」ことを認識させ、現実に引き戻すことも重要な仕事の一つです。

また、高度な技術を悪用した組織的な犯罪も後を絶たず、これらの悪質なサイバー犯罪に立ち向かうには、一人の捜査員の力だけでは解決することはできません。今後、県内はもちろん、全国の捜査員と連携し、切磋琢磨することで、インターネットを悪用する犯人を検挙し、皆さんが安心して使える安全なインターネット空間を実現していきたいと思っています。

 
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サイバー攻撃の現状を目の当たりにして

近畿管区警察局兵庫県情報通信部情報技術解析課

大西 健一(おおにし けんいち) 技官

 
警察庁マーク
 
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私は、情報技術解析部門の一員として、兵庫県警察サイバー攻撃特別捜査隊と協力して、県内のサイバーテロ・サイバーインテリジェンス対策に取り組んでいます。普段は、県内重要インフラ事業者等への個別訪問や、セキュリティセミナーの開催等によりセキュリティ意識の向上を図るなど、サイバー攻撃の未然防止を図りながら有事に備えています。

平成25年9月、海外の掲示板に日本の各政府機関を含む国内ウェブサーバへの攻撃を示唆する書き込みがありました。この事案では、サイバー攻撃特別捜査隊と連携した情報の収集及び収集した情報の解析を行い、日本に対し行われているサイバー攻撃手法の一部を解明しました。また、同時期に起きたホームページの改ざん事案では、改ざん前から、不特定多数の者がサーバへ不正アクセスしていることや、多くの不正なファイルが置かれていることを確認し、サイバー攻撃の現状を目の当たりにしました。

現在、サイバー空間は、目に見えるサイバーテロ、目に見えないサイバーインテリジェンスが活発に行われ、現実社会における警察活動に匹敵するほどの取組がサイバー空間でも望まれています。私は、知見の限りを尽くし、サイバー空間における治安の維持を守る一員として、安全・安心な社会の実現に寄与したいと思います。

 
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注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。


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