第3章 サイバー空間の安全の確保 

5 国際的なサイバー犯罪捜査協力の推進

(1)国際捜査共助

国境を越えて行われるサイバー犯罪について、国内における捜査で犯人を特定できない場合は、外国捜査機関の協力を求める必要がある。

警察庁では、サイバー犯罪に関する条約(注1)、刑事共助条約(協定) (注2)、ICPO、サイバー犯罪に関する24時間コンタクトポイント(注3)等の国際捜査共助の枠組みを活用し、国境を越えて行われるサイバー犯罪に対処している。

注1:サイバー犯罪から社会を保護することを目的として、コンピュータ・システムに対する違法なアクセス等一定の行為の犯罪化、コンピュータ・データの迅速な保全等に係る刑事手続の整備、犯罪人引渡し等に関する国際協力等につき規定している。平成24年11月1日に我が国について発効した。

注2:捜査共助の実施を条約上の義務とすることで捜査共助の一層確実な実施を期するとともに、捜査共助の実施のための連絡を外交当局間ではなく、条約が指定する中央当局間で直接行うことにより、手続の効率化・迅速化を図るもの

注3:9年12月のG8司法内務閣僚会合で策定された「ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画」に基づき設置されたもので、26年1月現在、66の国・地域に設置されている。

(2)国際会議・協議等

警察庁では、G8ローマ/リヨン・グループ(注1)に置かれたハイテク犯罪サブグループ、ICPOが主催するサイバー犯罪に関するユーラシア地域作業部会等の国際会議に参加し、多国間における情報交換や協力関係の確立等に積極的に取り組んでいる。

また、外国捜査機関等との二国間における協議を通じ、国際捜査共助に係る連携強化や技術情報の共有等を推進している。

さらに、アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議を平成12年度から毎年度開催し、解析技術やサイバー犯罪捜査に係る知識・経験等の共有を図っている。25年度は、アジア大洋州地域の国等の情報技術解析担当官やサイバー犯罪捜査官のほか、この分野で先進的な取組を行うNFI(注2)や米国パデュー大学、国内外の民間事業者の専門家が参加し、電磁的記録媒体の解析技術等に関する発表・討議、国際捜査及び官民連携に関する発表・討議、携帯端末解析の演習等を実施した。

このほか、警察庁では、外国捜査機関等との連携を強化するため、25年には米国のNCFTA(注3)が同国内外の捜査機関等の捜査員を対象として実施している捜査実習に職員を派遣したほか、26年度中に海外にリエゾンオフィサーを派遣することとしている。

注1:昭和53年にボン・サミットを契機に発足したG8テロ専門家会合(G8ローマ・グループ)と平成7年にハリファックス・サミットで設置されたG8国際組織犯罪対策上級専門家会合(G8リヨン・グループ)が13年の米国同時多発テロ事件以降合同で開催されているもので、国際組織犯罪対策やテロ対策等について検討している。

注2:Netherlands Forensics Institute(オランダ国立法科学研究所)の略

注3:National Cyber-Forensics & Training Allianceの略。サイバー空間の脅威を効率的に特定及び軽減するため、9年に米国ピッツバーグに設立された非営利団体で、法執行機関、民間企業、学術団体を構成員としている。

 
第14回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議

第14回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議


 第2節 サイバー空間の脅威への対処

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