特集II 子供・女性・高齢者と警察活動

3 おわりに

我が国の社会において連帯意識の希薄化や規範意識の低下等が叫ばれて久しいが、警察には、そのような社会の変化に的確に対応し、犯罪の被害に遭いにくく、人々が安心して暮らすことのできる社会をつくり、守っていく上で中心的な役割を担うことが求められている。

人口・家族構造の変化等、子供・女性・高齢者をめぐる社会情勢が変化している中で、子供対象・暴力的性犯罪や児童虐待、恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案、養護者による高齢者虐待といった暴力的事案が増加傾向にある。また、新しいコミュニケーションツールの普及等を背景に、インターネットを利用した児童ポルノ事犯やコミュニティサイト等の利用に起因する福祉犯、スマートフォン等を利用した盗撮、レンタル携帯電話等を悪用する特殊詐欺等の被害も顕著である。

これらのことから、子供・女性・高齢者の安全・安心が、社会の変化に大きく影響を受けるものであることがうかがわれるが、その安全・安心を確保するための方策は単純なものではない。

犯罪発生時に迅速・的確な警察活動を実施し、被疑者の検挙及び被害の拡大防止を図ることはもちろん、社会の変化を踏まえつつ、

・ 個々の立場に応じ、被害者になることを防ぐ先制的な防犯指導・防犯教育

・ 犯罪の最新の手口や状況に関する効果的な広報啓発及び情報提供

によって防犯意識を高めるとともに、

・ 必要な場所への街頭防犯カメラの設置等による環境整備

・ 犯罪被害者等の心情やニーズに配意しつつ、状況の危険性を的確に把握し、措置を講ずる相談対応等

といった諸対策を推進し、犯罪の未然防止及び安心感の醸成を図っていくことが必要である。

これらの施策を有効なものとするためには、地域住民や関係機関・団体等との連携が重要であり、既に一定の施策においては防犯ネットワーク等の構築・活用が図られているところであるが、今後はセーフコミュニティ活動にみられるように、各地域における安全・安心の確保に向けた総合的な取組を推進していくことが必要である。



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