特集II 子供・女性・高齢者と警察活動

2 警察における相談業務の充実強化

多くの国民が治安に対する不安を抱える中、警察は、様々な犯罪・事故に関して国民から寄せられる相談に対応している。子供・女性・高齢者から寄せられる相談も多く、警察では、それらの相談に対し、相談者のプライバシーの保護や心情、境遇等に配意しながら、迅速・確実な組織的対応を実施するよう努めている。

(1)相談受理体制

警察では、国民から寄せられた相談に対し、迅速・確実な組織的対応を行うことができるよう、都道府県警察本部及び警察署に相談の総合窓口をそれぞれ設置しているほか、性犯罪被害者相談窓口や少年相談窓口等の相談内容に応じた専用窓口(注1)を設置している。

また、都道府県警察本部に相談専用電話を設置し、全国統一番号の「♯(シャープ)9110」番(注2)に電話をかければ発信地を管轄する警察本部等の警察総合相談室に自動的に接続されるようにするなど、相談上の利便を図っているほか、9月11日を「警察相談の日」と定め、「♯9110」番や各都道府県警察に設置している各種相談窓口について広報し、利用を呼び掛けている。

注1:相談窓口の名称及び設置状況は各都道府県警察によって異なる。
注2:携帯電話からも利用できる。なお、ダイヤル回線及び一部のIP電話では利用できないので、警察相談専用の一般加入電話番号を警察庁ウェブサイト等で広報している。
 
「♯(シャープ)9110」番の広報活動
「♯(シャープ)9110」番の広報活動

(2)現状

平成24年中に警察で取り扱った相談の件数は155万3,189件であり、前年に比べ9万2,140件(6.3%)増加した。

 
図II-65 相談取扱件数の推移(平成20~24年)
図II-65 相談取扱件数の推移(平成20~24年)
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図II-66 相談内容の内訳(平成24年)
図II-66 相談内容の内訳(平成24年)
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(3)相談業務の充実強化に向けた取組

① 相談への組織的対応

寄せられた相談に対しては、相談内容に応じて、関係する部署が連携を図って対応し、刑罰法令に抵触する事案を検挙することはもとより、刑罰法令に抵触しない事案であっても必要に応じて相談者への防犯指導や相手方への指導・警告を行うなどして犯罪等の被害の未然防止を図っている。

事例①

兵庫県尼崎市における被害者多数の殺人・死体遺棄事件の捜査の過程で、事件関係者等が過去に警察に対して数十回にわたる相談等を行っていたことが明らかとなった。兵庫県警察及び香川県警察においては、本件を踏まえ、相談時期や対応者等が異なる相談であっても、一連の事案として認識し、組織的な対応をとることができるよう、警察本部と警察署との連携強化等、相談関連業務の充実に取り組んでいる(兵庫、香川)。

事例②

警視庁では、本部において「検索指導官」を指定し、警察署から相談情報管理システムに入力された内容を、キーワードにより検索し、相談事案の点検を行っている。点検の結果、早期に被害拡大の防止措置や捜査の着手の検討が必要な事案が認められた場合には、警察署に対応を指導している。

② 相談業務担当者に対する研修の実施

多種多様な相談に適切に対応できる相談業務担当者を育成するため、警察庁では、都道府県警察本部の相談業務担当者に対して相談対応要領や相談者の心理等を内容とする研修を実施している。また、都道府県警察でも警察署の相談業務担当者を対象に研修会等を実施している。

③ 関係機関・団体等との連携の推進

警察では、関係機関・団体等とのネットワークを強化し、警察以外の機関・団体で取り扱うことが適切である相談や警察以外の機関・団体と相互に緊密な連携を図ることが必要とされる相談への適切な対応を図っている。



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