特集II 子供・女性・高齢者と警察活動

2 高齢者による犯罪

(1)犯罪情勢

近年、刑法犯の検挙人員が減少している中、高齢者人口及び総人口に占める割合の増加(22頁参照)もあり、高齢者の刑法犯検挙人員は、平成10年台に大幅に増加し、その後も高い水準を維持している。刑法犯全体の中で高齢者による犯罪の占める割合も年々高まっており、24年中、高齢者の刑法犯検挙人員は4万8,544人と、元年と比べて約7倍に増加し、また、検挙人員総数に占める割合も2.1%から16.9%に上昇した。

 
図II-62 高齢者の刑法犯検挙人員及び高齢者の割合の推移(平成元~24年)
図II-62 高齢者の刑法犯検挙人員及び高齢者の割合の推移(平成元~24年)
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高齢者による犯罪の主なものは、万引き、占有離脱物横領、暴行及び傷害で、これらの犯罪の検挙人員で高齢者の刑法犯検挙人員の約8割を占める。これらの犯罪の検挙人員の推移について年齢層別に比較すると、特徴的な傾向を示すのは万引きである。万引きについては、15年から24年までの間に、他の全ての年齢層が減少する中、高齢者だけが増加し、24年中には、高齢者の検挙人員が最も多くなり、全年齢層に対する割合でも約3割を占めた。

 
図II-63 年齢層別検挙人員の推移(平成15~24年)
図II-63 年齢層別検挙人員の推移(平成15~24年)
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また、初犯者・再犯者別に高齢者の検挙人員の推移を見ると、暴行及び傷害については初犯者・再犯者とも増加傾向にある。万引きについては、初犯者がほぼ横ばいであるのに対し、再犯者の増加が著しく、24年中は再犯者が初犯者を上回った。占有離脱物横領については初犯者・再犯者とも19年頃から大幅な減少傾向にある。

 
図II-64 初犯者・再犯者別検挙人員の推移(平成15~24年)
図II-64 初犯者・再犯者別検挙人員の推移(平成15~24年)
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(2)犯罪を防止するための取組

万引きを始めとする高齢者による犯罪に関しては、背景として規範意識の低下や地域社会における高齢者の孤立化等があることがうかがわれることを踏まえ、警察としては、高齢者の規範意識の向上と地域社会における絆の強化を目的とした取組を実施している。

事例①

福島県警察では、高齢者による万引きが増加傾向にあることを踏まえ、広く社会全体に注意喚起し、高齢者自身の規範意識の向上を目的に、関係機関・団体等の協力の下、高齢者自身による高齢者に対する防犯広報・防犯指導を実施する「万引き防止アドバイザー」制度を平成25年度から導入した。25年5月1日現在、県内で727名の万引き防止アドバイザーが、老人クラブ等における座談会で防犯講話を行うなどの活動を実施している。

事例②

岡山県警察では、県内の関係機関・団体等(注)を一堂に集めた「犯罪の起きにくい社会づくりミーティング」を開催し、高齢者の安全・安心を確保するための方策について協議し、行動計画を取りまとめた。行動計画には、高齢者を犯罪の加害者にさせないための実施事項として、個別訪問による啓発活動や地域住民や高齢者同士のふれあいの場の創造による孤立の防止等が盛り込まれた。

注:地域包括支援センター、防犯ボランティア団体、ライフライン事業者等

コラム⑧ 高齢被留置者の適切な処遇のために ~留置担当警察官の声~

被留置者の年齢層は幅広く、最近は特に60~70歳代の高齢者が増えているように感じます。高齢の被留置者は、そのほとんどが高血圧等の持病を抱えている上、留置担当官の介助を要する者もいます。自分の体調を上手に伝えられない被留置者もいるので、健康状態の把握には特段の注意を払っています。また、耳が遠くて意思疎通が図れず同室者とトラブルになることもあるので、居室内の様子にも目配りが欠かせません。高齢の被留置者への対応等、社会情勢の変化と個々の被留置者の状況に応じた適正な留置管理業務を推進する必要性を実感しています(警視庁、警部補)。



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