特集I サイバー空間の脅威への対処

4 犯罪の取締りへの技術支援

コンピュータ、携帯電話等の電子機器が一般に普及するとともに、情報通信技術の進展によりスマートフォンのような新たな電子機器が登場し、あらゆる犯罪に悪用されるようになってきており、こうした犯罪の取締りにおいても高度な技術的知見が必要となっている。このため、警察では、警察庁情報通信局及び各都道府県情報通信部等に情報技術解析課を設置し、都道府県警察が行う犯罪捜査に対して、捜索差押え現場でコンピュータ等を適切に差し押さえるための技術的指導や押収した携帯電話等から証拠となる情報を取り出すための解析を実施する技術支援を行っている。

その中でも警察庁情報通信局には、高度かつ専門的な知識及び技術を有する職員を配置するとともに、高性能の解析用資機材を整備し、破損したハードディスク等に記録された情報の抽出・解析、不正プログラムの解析等の特に高度な技術を要する情報技術の解析を実施して、犯罪の取締りを支えている。例えば、海中に水没して塩分が付着し、起動できない状態になった電子機器を、空気中のほこり等を排除できるクリーンルーム内で分解して洗浄し、データを抽出できる状態にするなどの特殊な解析作業も行っている。

 
クリーンルームでの解析作業
クリーンルームでの解析作業

事例

男子高校生(17)ら2人による不正指令電磁的記録作成・同供用及び不正アクセス禁止法違反事件に対し、秋田県情報通信部は、平成24年10月から同年11月にかけて、他人のIDやパスワードを不正に取得するために用いられた不正プログラムの解析等の技術支援を行った。この結果、不正プログラムの挙動が解明され、同事件の検挙に貢献した(秋田)。



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