第5章 公安の維持と災害対策


潜水部隊員として


前 熊本県警察本部警備部機動隊(現 熊本東警察署地域課)

廣野 勇樹(ひろの ゆうき) 警部補

 
ゆっぴー
ゆっぴー

私は、県内で唯一潜水活動を行う機動隊の部隊に所属しています。潜水部隊活動の現場の大半は、視界が悪く、障害物等のある水中です。そこでは、自身の安全管理、部隊員間の連携及び捜索活動を一度に行わなければ、目的を達成できないため、私たち部隊員は、目隠しをしての潜水訓練等厳しい現場を想定した訓練を反復実施しています。 

私のこれまでの経験で一番過酷だった現場は、ヘドロが舞い、視界ゼロのまさに暗黒の世界という水中であり、そこで殺人事件の凶器である包丁を捜索するという任務を達成することは困難を極めました。指先に全神経を集中させ、手をヘドロの奥まで差し込んでもなかなか発見できず、集中力が乱れ始めたそのとき、私の指先に何か堅い物が当たったのです。それを手に取りなぞった瞬間、私の脳裏にはっきりと包丁の形が浮かび上がりました。このときの感覚と潜水部隊員としての責任を果たした達成感はどの現場よりも印象に残っています。

このような過酷な現場で任務を達成できたのは、日々の厳しい訓練に耐えたことへの自信と、厳しい訓練を共に乗り越えてきた仲間との絆があったからだと思います。私は、潜水部隊員としての誇りを胸に、これからも職務を果たしていきたいと考えています。

 
前 熊本県警察本部警備部機動隊(現 熊本東警察署地域課) 廣野 勇樹 警部補

現実的なものとなったサイバーテロへの対策に向けて


前 東京都警察情報通信部情報技術解析課(現 警視庁へ出向中)

北村 真一(きたむら しんいち) 技官

 
警察庁

私は、サイバーテロ対策プロジェクトの一員として、都内重要インフラ事業者に対してサイバー攻撃に関する技術情報の提供や情報セキュリティに関する助言等を行っています。また、事業者の基幹システムに対するサイバー攻撃を想定した官民一体となった緊急対処訓練を実施して、事案対処能力の向上を図っています。

平成24年9月の政府機関等に対するサイバー攻撃では、国内の複数のウェブサイトがアクセス集中によって閲覧を妨害されたり、不正アクセスによって改ざんされたりしました。被害コンピュータの一部は、被害認知の数か月前から攻撃を受けていたことが判明しており、このようなサイバー攻撃に対して、早期に発見・対処できるような体制を民間事業者と共に築いていく必要性を痛感しました。

いまや現実的なものとなったサイバーテロを未然に防止し、また、万一発生した場合でも被害を最小限にとどめるためには、事業者と警察との連携が何より重要となります。

今後とも、日々進化する情報通信技術の習得に努め、得られた知見を訓練や事案対処にいかすことによって、安全・安心な社会の実現に貢献してまいりたいと思います。

 
前 東京都警察情報通信部情報技術解析課(現 警視庁へ出向中) 北村 真一 技官

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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