第5章 公安の維持と災害対策

5 大衆運動の動向

(1)原子力政策をめぐる運動

平成24年中、大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働や原子力規制委員会の人事等を捉え、全国各地で集会やデモが取り組まれた。首相官邸前では、毎週金曜日に抗議行動が行われ、SNS等での参加呼び掛けに呼応した幅広い年齢層の市民が参加した。また、同年7月16日、都内の代々木公園で、福島第一原子力発電所事故以降全国的に広がった反原発運動で最大規模となる集会が行われた(主催者発表約17万人)。

 
代々木公園での反原発を訴える集会(共同)
代々木公園での反原発を訴える集会(共同)

(2)オスプレイ配備をめぐる運動

平成24年中、米軍によるオスプレイの普天間飛行場への配備や各地での飛行訓練計画等に対し、全国で反対集会やデモが行われた。沖縄県では、同年9月9日、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が開催された(主催者発表約10万1,000人)ほか、同飛行場ゲート前で座込み等の抗議行動が行われた。

 
沖縄県民大会(共同)
沖縄県民大会(共同)

(3)経済問題等を捉えた国内外の運動

欧州諸国では、債務危機脱却のための緊縮財政政策や経済格差問題等を捉えた大規模な集会やデモが取り組まれ、その過程で一部の参加者が暴徒化し、多数の逮捕者が出る事態が相次いで発生した。また、これらの取組を通じて、一部の過激な勢力や反グローバリズムを掲げる勢力等が国際的連携を強め、我が国でも欧州諸国での抗議行動と連帯したデモが行われた。

(4)我が国の捕鯨を取り巻く国内外の動向

米国の過激な環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、平成23年12月から行われた南極海調査捕鯨に対し、「神風作戦」と称して、酪酸瓶の投てき等過激な妨害活動を行った。また、和歌山県太地町でのイルカ漁に対しては、24年9月から活動家を同町に派遣して抗議活動を行っており、同年10月、活動家が同町の公園に設置されたモニュメントを損壊したとして逮捕される事案が発生した。

 
酪酸瓶を投てきする活動家(提供:(財)日本鯨類研究所)
酪酸瓶を投てきする活動家(提供:(財)日本鯨類研究所)

(5)雇用問題を捉えた運動

全国労働組合総連合(全労連)は、雇用の安定等を求め、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の抜本改正等を訴えたほか、東日本大震災等の影響で雇用状況が一段と悪化しているとして、平成24年5月の第83回中央メーデーで「震災復興」、「原発ゼロ」、「賃上げ・安定した雇用と仕事の確保」等を訴え、集会やデモを行った。



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