第5章 公安の維持と災害対策

第3節 公安情勢と対策

1 オウム真理教の動向と対策

(1)オウム真理教の動向

オウム真理教(以下「教団」という。)は、麻原彰晃こと松本智津夫への絶対的帰依を強調する主流派(「Aleph(アレフ)」)と松本の影響力がないかのように装う上祐派(「ひかりの輪」)を中心に活動している。

主流派は、依然として松本を「尊師」と尊称し、同人の「生誕祭」を開催しているほか、肖像写真等を拠点施設の祭壇等に飾るなど、同人への絶対的帰依を強調する「原点回帰」路線を強めている。

一方、上祐派は、同派のウェブサイトに旧教団時代の反省・総括の概要を掲載して、「松本からの脱却」を強調するなど、松本の影響力がないかのように装って活動しているほか、「外部監査委員会」を設置したり、著名人との対談やマスコミ取材を積極的に受け入れるなどして、「開かれた教団」のアピールに努めているが、依然として、松本及び同人の説く教団の教義を基盤としているものと認められる。同派は、今後も無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(以下「団体規制法」という。)に基づく観察処分の適用回避に全力を挙げるものとみられる。

平成24年1月、教団は現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があるとして、団体規制法に基づく観察処分の期間が27年1月末まで3年間更新された。

 
図5-7 オウム真理教の拠点施設等(平成25年6月末日)
図5-7 オウム真理教の拠点施設等(平成25年6月末日)

(2)オウム真理教対策の推進

警察は、平成7年以降、オウム真理教関係警察庁指定特別手配被疑者の発見検挙を全国警察を挙げて取り組むべき最優先課題の一つとし、広く国民の協力を得ながら追跡捜査を推進してきたところ、24年1月に平田信を、同年6月には菊地直子及び高橋克也を逮捕し、これにより特別手配被疑者全員が検挙された。

警察は、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、引き続き、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進している。また、教団施設周辺の地域住民や関係する地方公共団体からの要望を踏まえ、地域住民の平穏な生活を守るため、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒警備活動を実施しているほか、地下鉄サリン事件等教団による一連の凶悪事件に対する記憶の風化を防止するとともに、教団の現状について適切な理解を得るため、国民に対し、広報活動を推進している。

 
教団施設周辺の警戒警備状況
教団施設周辺の警戒警備状況


前の項目に戻る     次の項目に進む