第4章 安全かつ快適な交通の確保

第5節 道路交通秩序の維持

1 交通指導取締り

(1)悪質性・危険性・迷惑性の高い運転行為への対策

警察では、機動的な交通街頭活動を推進し、違法行為の未然防止に努めるとともに、無免許運転、飲酒運転、著しい速度超過、信号無視等の交通事故に直結する悪質性・危険性の高い違反及び迷惑性が高く地域住民からの取締り要望の多い違反に重点を置いた取締りに努めている。

平成24年中は、780万4,828件の道路交通法違反を取り締まった。

 
図4-32 主な道路交通法違反の取締り状況(平成24年)
図4-32 主な道路交通法違反の取締り状況(平成24年)
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(2)使用者等の責任追及等

事業活動に関して行われた過労運転、過積載運転、放置駐車、最高速度等の違反やこれらに起因する事故事件について、運転者の取締りにとどまらず、使用者に対する指示や自動車の使用制限命令を行っているほか、これらの行為を下命・容認していた使用者等(注)を検挙するなど、使用者等の責任追及に努めている。

また、タクシーやトラック等の事業用自動車の運転者が、その業務に関して行った道路交通法等に違反する行為については、運輸支局等に通知して所要の行政処分等を促し、事業用自動車による交通事故防止に努めている。

さらに、自動車整備業者等による車両の不正改造等、事業者による交通の安全を脅かす犯罪に対しても、取締りを推進している。

注:使用者のほか、安全運転管理者その他自動車の運行を直接管理する地位にある者も含む。

事例

平成24年5月、居眠り運転により、事業用大型貨物自動車(大型トラック)が渋滞停止中の中型貨物自動車等3台に追突するなどして被害車両の運転者ら2人が死亡し、2人が軽傷を負った交通事故を端緒として、この大型トラックの運転者(30)の過労運転を容認していた運送会社の運行管理者(44)らを同年8月に道路交通法違反(過労運転容認)で検挙した(福島)。

 
大型トラックの交通事故現場
大型トラックの交通事故現場

コラム⑨ 道路交通法の改正④(無免許運転への対策の強化)

平成23年10月、愛知県名古屋市においてブラジル人による死亡ひき逃げ事件が発生したほか、24年4月には京都府亀岡市において少年による通学中の児童等10人を死傷させる交通事故が発生するなど、無免許運転による交通事故が相次いで発生した。

このような状況を踏まえ、無免許運転の根絶を図るため、無免許運転に対する罰則を「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」から「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に引き上げるなどの内容が盛り込まれた道路交通法の一部を改正する法律が、25年6月、第183回国会において成立した。



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