第4章 安全かつ快適な交通の確保

2 運転者施策

(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施

道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を道路交通の場から早期に排除するため、行政処分の厳正かつ迅速な実施に努めている。

 
表4-7 運転免許の行政処分件数の推移(平成20~24年)
表4-7 運転免許の行政処分件数の推移(平成20~24年)
Excel形式のファイルはこちら

(2)運転免許手続等の利便性の向上と国民負担の軽減

警察では、運転免許証の更新に係る国民の負担を軽減するため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署における更新窓口の設置、申請書の写真添付の省略等の施策を推進している。また、平成22年5月の事業仕分けにおける評価結果や23年3月の運転免許制度に関する懇談会による提言を踏まえ、更新時講習で使用される教材について、教材の冊数の削減等を内容とする見直しを行い、24年4月から見直し内容を反映した教材を使用している。

さらに、障害者の利便性向上のため、試験場施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付けた学科試験の実施や字幕入り講習用ビデオの活用等を推進している。また、障害者や一定の症状を呈する病気等(注)にかかっている者が安全に運転できるか個別に判断するため、専門知識の豊富な職員を配置し、運転適性相談活動の充実を図っている。

注:自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれのある病気等

コラム⑤ 道路交通法の改正②(一定の症状を呈する病気等に係る運転者対策の推進)


意識障害を伴う発作を起こす持病について虚偽の申告をし、運転免許証の更新をしていた運転者による多数の死傷者を伴う交通事故が平成23年4月に栃木県鹿沼市で発生したことなどを受け、24年6月から同年10月にかけて、一定の症状を呈する病気等に係る運転免許制度の在り方について検討する有識者検討会が開催された。

この有識者検討会において取りまとめられた「一定の症状を呈する病気等に係る運転免許制度の在り方に関する提言」を踏まえ、一定の症状を呈する病気等に係る運転者対策に関する次の規定が盛り込まれた道路交通法の一部を改正する法律が、25年6月、第183回国会において成立した。

【免許の拒否事由等とされている一定の症状を呈する病気等に該当する者を的確に把握するための規定】

◯ 免許を受けようとする者等に対する病気の症状に関する質問制度及び虚偽記載に対する罰則

◯ 一定の症状を呈する病気等に該当する者を診断した医師による任意の届出制度

◯ 一定の症状を呈する病気等に該当する者であると疑う理由があるときの免許の効力の暫定的停止制度

【一定の症状を呈する病気を理由に免許を取り消された場合等における免許再取得に関する負担を軽減するための規定】

◯ 一定の症状を呈する病気を理由に免許を取り消された場合等における次の措置

・ 免許再取得時の試験の一部を免除

・ 再取得した免許のみなし継続

 
有識者検討会(第1回)
有識者検討会(第1回)

(3)国際化への対応

外国等の行政庁等の運転免許を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できる制度があり、平成24年中の同制度による運転免許証の交付件数は2万6,014件であった。また、警察では外国人運転者のための安全教育ビデオを作成し、その活用を図るとともに、地域の実情に応じ、外国人運転者に対する安全教育の充実に努めている。



前の項目に戻る     次の項目に進む