第4章 安全かつ快適な交通の確保

4 子供の交通安全に向けた取組

(1)子供が関係する交通事故の状況

子供の死者数は昭和40年代までは、2,000人を超える年もあったが、その後大きく減少し、平成24年には92人となっている。

24年中の子供の死者数を状態別にみると、歩行中が全体の半数近く(46.7%)を占め、次いで自動車乗車中(30.4%)、自転車乗車中(19.6%)が多い。

24年中の小学生及び中学生の死者数を通行目的別にみると、通学等(登校、下校及び学業中)が全体の約3割を占めており、また、通学中に多数の子供が被害に遭う重大交通事故が多発したことから、通学中の子供の交通安全に向けた取組は重要な課題となっている。

 
図4-14 15歳以下・状態別死者数の推移(平成15~24年)
図4-14 15歳以下・状態別死者数の推移(平成15~24年)
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図4-15 小学生及び中学生の通行目的別死者数(平成24年)
図4-15 小学生及び中学生の通行目的別死者数(平成24年)
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小学生に対する横断訓練
小学生に対する横断訓練

(2)子供の事故防止対策

幼児に対しては、交通ルールや交通マナー等道路の安全な通行に必要な基本的知識・技能を習得させるため、幼稚園、保育所及び保護者等と連携して紙芝居や視聴覚教材等を活用した交通安全教室等を実施している。

小学生、中学生に対しては、歩行者及び自転車の利用者として必要な知識・技能を習得させ、自己の安全だけでなく他人の安全にも配慮できるようにするため、学校、PTA等と連携した自転車教室等を実施している。

特に、入学直後の小学生は、入学前に比べて行動範囲が著しく広がることから、道路外のコースにおける横断訓練等の交通安全教育を実施し、安全に道路を通行する意識及び能力の向上を図っている。

コラム② 幼児を対象とした交通安全教育


幼児は、長時間にわたって集中力を持続することや抽象的な言葉による説明を理解することが困難であるため、短時間で効果的な交通安全教育が実施できるよう、様々な工夫を行っている。

具体的には、腹話術を習得した警察官が安全な道路の横断方法等の基本的な交通ルールについて講話を行ったり、バス事業者の協力を得て運転者からの死角について、実際にバスを用いて体験させたりなどしている。

 
腹話術による教育
腹話術による教育
 
バスを用いた死角体験
バスを用いた死角体験

コラム③ 通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検について

(1)通学路における緊急合同点検の実施

平成24年4月以降、登下校中の児童等が死傷する交通事故が全国で連続して発生したことを受け、警察では、通学路の危険箇所に対する具体的な交通安全対策を講ずるため、教育委員会、学校、道路管理者等と連携し、全国約2万校の公立小学校及び公立特別支援学校小学部の通学路において、約8万箇所を対象とした緊急合同点検を実施し、交通安全対策を必要とする箇所として約7万5,000箇所を抽出した。

これらの箇所については、関係機関等が連携し、道路交通の実態等に応じ、必要な対策を可能なものから順次推進している。

 
緊急合同点検の実施状況
緊急合同点検の実施状況
 
トラックを用いた交通安全教育
トラックを用いた交通安全教育

(2)緊急合同点検の結果を踏まえた警察の取組

警察では、緊急合同点検によって抽出した箇所のうち、警察による対策が必要な約2万箇所において、ハード・ソフトの両面から対策を講ずることとしている。

① 交通安全教育等の実施

トラックの死角体験等を盛り込んだ交通安全教室の開催や、通学時間帯における車両運転者に対する広報啓発活動等を実施している。

② 道路交通環境の整備

信号機の設置や歩車分離化、信号灯器のLED化、横断歩道や路側帯の設置、通行禁止規制や一時停止規制等の交通規制の実施、道路標識・標示の設置・更新等の対策を推進し、平成25年3月末までに約1万2,000箇所の対策を完了した。

 
図4-16 道路交通環境の整備事例(信号機の新設)(千葉県山武市)
図4-16 道路交通環境の整備事例(信号機の新設)(千葉県山武市)
 
図4-17 道路交通環境の整備事例(一時停止規制の実施、横断歩道の新設)(愛知県名古屋市)
図4-17 道路交通環境の整備事例(一時停止規制の実施、横断歩道の新設)(愛知県名古屋市)

③ 重点的な交通指導取締り

抽出した箇所を踏まえた通学路の重点的な交通指導取締りに取り組んでいる。



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