第3章 組織犯罪対策

警察活動の最前線


外国人犯罪組織に立ち向かう


富山県警察本部刑事部組織犯罪対策課

笠谷 知美(かさたに ともみ) 巡査部長

 
立山くん
立山くん

知り合いの警察官から、語学力が警察でいかせると聞き、犯罪抑止にロシアでの留学経験を役立てたいとの思いから、富山県警察へ飛び込みました。現在は、念願の国際捜査官として、外国人犯罪組織に関する情報収集や取締り等のほか、ロシア人被疑者等の取調べや通訳を担当しています。

富山県は、国道沿いに外国人が経営する中古自動車店が密集し、ロシア極東から多数のロシア人が買い付けにやってきます。店の小さな一角では、毎日数十万ドルの現金が動き、窃盗事件はもちろん、過去には外国人同士による殺人事件や強盗事件も発生するなど、外国人犯罪が身近な脅威となっています。

一方で、地域住民と外国人が共存する富山県では、外国人犯罪と対峙(じ)し、その犯罪組織を壊滅することだけでなく、外国人を犯罪者にさせない街づくりも大事な仕事です。私がまだ新米だった頃、外国人被疑者で、日本の法制度や刑事手続が分からず、自分の処遇や本国の家族への影響を心配し、取調べで何も答えられないと訴えてきた被疑者がいました。外国人も日本人と同様、不安を抱えていることを知り、ただ言葉を伝えるだけではなく、1人の人間として真摯(し)に向き合うことの重要性を実感しました。このような経験を大切にし、外国人犯罪と向き合う強い警察官でありたいと思います。

 
富山県警察本部刑事部組織犯罪対策課 笠谷 知美 巡査部長

薬物事犯の根絶に向けて


山梨県警察本部刑事部組織犯罪対策課

齋藤 広(さいとう ひろし) 警部補

 
ふじ君
ふじ君

「末端の薬物乱用者を徹底検挙し、密売組織を壊滅することで需要と供給を遮断する」

これこそが薬物犯罪捜査の目的であり、全ては地道で粘り強い日々の捜査の積み重ねに懸かっています。

これまで私が薬物犯罪捜査を通じて目にしてきたものは、職に就かず、薬物欲しさから窃盗や強盗等の犯罪を重ね、さらには、幻覚等の影響から殺傷事件まで起こすという多くの薬物乱用者の末路、正に人生の破滅へと向かう姿でした。私は、薬物乱用者による事案を取り扱うたびに、薬物の恐ろしさを肌で感じ、薬物事犯の撲滅を心に誓います。

最近、若者が室内で大量の大麻を栽培する事件を検挙しました。若者達の薬物への警戒心が低下していることが懸念される事件です。薬物は、乱用者自身の身を滅ぼすだけでなく、家族や社会をも滅ぼします。そして薬物のまん延は一国をも滅ぼしかねない、私達の生活にとって大きな脅威なのです。

私が今やっている捜査は地道なものです。しかし、こうした積み重ねが、薬物からこの国を守る第一歩だと信じ、微力ではありますが全力を尽くしていきたいと思います。

 
山梨県警察本部刑事部組織犯罪対策課 齋藤 広 警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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