第3章 組織犯罪対策

4 国際連携

国境を越えて敢行されるマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防止するためには、相対的に規制の緩い国の金融サービス等が悪用されることのないよう、各国が連携して対策を講ずることが不可欠である。このため、国際社会においては、金融活動作業部会(FATF)(注1)、アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(APG)(注2)、エグモント・グループ等の枠組みの下、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策の国際的基準の策定、普及等が行われており、警察庁もこれらの活動に積極的に参画している。

注1:The Financial Action Task Forceの略
注2:The Asia/Pacific Group on Money Launderingの略

(1)FATFの活動と警察庁の参画状況

FATFは、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策に関する国際協力を推進するため設置されている政府間会合であり、平成24年末現在、我が国を含む34の国・地域及び2国際機関が参加している。FATFは、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策として、各国が法執行、刑事司法及び金融規制の各分野において講ずるべき措置を、「FATF勧告」として示している。また、FATFは、加盟国における勧告の遵守の徹底のため、順次、各加盟国に審査団を派遣して相互審査を実施しており、我が国に対しても20年に3回目の審査が実施された。これを受けて我が国は、24年6月及び同年10月、全体会合において、同審査で指摘された各勧告の改善状況を報告した(23年10月に続いて3回目及び4回目の報告)。

警察庁では、従来からFATFの活動に積極的に参画しており、24年中は、年3回の全体会合のほか、特別会合及び作業部会に職員を派遣した。

(2)APGの活動と警察庁の参画状況

APGは、アジア・太平洋地域のFATF非参加国・地域におけるマネー・ローンダリング対策を促進するために設置された国際協力の枠組みであり、平成24年末現在、我が国を含む41の国・地域が参加している。警察庁では、24年中、年次会合のほか、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の手口分析の研究のための会合に職員を派遣した。

(3)エグモント・グループの活動と警察庁の参画状況

エグモント・グループは、各国のFIU間の情報交換、研修、専門知識に関する協力等を目的として設置された国際機関であり、平成24年末現在、我が国を含む131の国・地域のFIUが参加している。警察庁では、24年中、年次会合のほか、作業部会に職員を派遣した。

 
表3-14 国家公安委員会・警察庁と外国のFIUとの情報交換件数の推移(平成20~24年)
表3-14 国家公安委員会・警察庁と外国のFIUとの情報交換件数の推移(平成20~24年)
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(4)外国のFIUとの情報交換

国境を越えて行われるマネー・ローンダリングやテロ資金供与を発見するためには、各国のFIUが保有する情報の積極的な交換が必要であることから、国家公安委員会・警察庁では外国のFIUとの連携を強化し、活発な情報交換を実施している。

また、国家公安委員会・警察庁では平成24年末現在、合計46の国・地域のFIUとの間で情報交換のための枠組みを設定している。

 
表3-15 外国のFIUとの情報交換枠組みの設定状況
表3-15 外国のFIUとの情報交換枠組みの設定状況


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