第3章 組織犯罪対策

2 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況

マネー・ローンダリングとは、一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為であり、我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法においてマネー・ローンダリングが罪として規定されている。

平成24年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、組織的犯罪処罰法違反で238件(前年比5件減少)、麻薬特例法違反で11件(前年比3件増加)であり、組織的犯罪処罰法違反については、暴力団構成員等によるものが23.1%を占めている。

24年中における暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが17件、窃盗に係るものが10件、ヤミ金融事犯に係るものが7件、売春防止法違反に係るものが6件となっているが、その他にも風営適正化法違反に係るものなどがあり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリングを行っている実態がうかがわれる。

また、24年中の組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯のうち、17件が来日外国人によるものであった。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリングの対象となるもの
 
表3-11 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
表3-11 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
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事例

極東会傘下組織幹部の男(42)及びナイジェリア人の男(46)らは、22年8月、米国内で敢行された詐欺事件の詐取金(約2,400万円)が、日本国内に開設された銀行口座に国外から振り込まれた際、銀行担当者に対し商品の買い付け代金であるなどと虚偽の説明をし、さらに、払戻手続に当たって、商品の買い付け代金等と記載された虚偽の取引明細書を提出するなどして、これら詐取金が正当な事業収益であるかのように装った。24年12月、同人らを組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した(新潟、警視庁)。



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