第3章 組織犯罪対策

2 国際犯罪組織の動向

(1)来日外国人犯罪の組織化の状況

平成24年中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は49.3%と、日本人(13.0%)の約3.8倍に上り(注)、罪種別にみると、住宅を対象とした侵入窃盗で93.4%と日本人(13.9%)の約6.7倍に上るなど、共犯事件の割合が極めて高い。

このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて多人数で行われる場合が多く、来日外国人によって組織的に犯罪が敢行される傾向がうかがわれる。最近では、在留資格を不正取得するために偽装結婚が行われたり、犯罪収益等を海外に送金するために地下銀行が営まれたり、ヤードを利用した盗難自動車等の解体・不正輸出や各種公的給付制度を悪用した詐欺等の犯罪が敢行されたりしている。

注:来日外国人と日本人の共犯事件については、主たる被疑者の国籍・地域により、来日外国人による共犯事件であるか、日本人による共犯事件であるかを分類して計上している。
 
図3-12 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い(平成24年)
図3-12 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い(平成24年)
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事例①

中国人の男(30)らは、19年から23年9月にかけて、依頼人から集めた現金を高級腕時計に換え、国際スピード郵便を利用して中国に無許可で輸出し換金する手口で地下銀行を営み、約650人から集めた約22億円を中国へ不正に送金していた。24年1月までに中国人3人を関税法違反(無許可輸出予備)、銀行法違反(無免許営業)等で逮捕した(兵庫、広島)。

事例②

風俗店を経営する中国人の女(47)らは、行政書士事務所の実質的経営者の男(32)と共謀し、日本人の配偶者等の在留資格を得ようとする中国人の女らを組織的に偽装結婚させていた。24年6月までに、中国人23人、日本人15人及びフィリピン人1人を公正証書原本不実記載・同行使罪等で検挙した(大阪)。

(2)国際犯罪組織の特徴

国際犯罪組織は、出身国や地域別に組織化される、組織の構成員は利害関係が一致する者と離合集散を繰り返す、リーダーの下で役割を分担して犯行を敢行するといった特徴を有している。これらの犯罪組織の中には、短期滞在の在留資格等により来日し、犯行後は本国に逃げ帰るいわゆるヒット・アンド・アウェイ型の犯罪等を敢行するものもみられる。



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