第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

警察活動の最前線


真の「勧善懲悪」とは


岡山県警察本部生活安全部生活環境課

岸 正康(きし まさやす) 巡査部長

 
ももくん・ももかちゃん
ももくん・ももかちゃん

私は、悪者を懲らしめる刑事ドラマの主人公に憧れて警察官を拝命し、「勧善懲悪」を信条に、悪質商法等の捜査に従事しています。

家族や地域の絆の重要性が叫ばれる中、いまだに多くの方が悪質商法等の被害に遭っています。中には、僧衣姿でお経を唱えた後に高額な商品を購入させる手口もありました。

被害者は一人暮らしの高齢者が多く、心細さに付け込んでだまし、あざ笑っている犯人を考えると、心の底から「勧善懲悪」の炎がメラメラと燃え上がるのです。

捜査で訪れた家で、多額の被害に遭っていることに初めて気付き落胆するおばあちゃんの姿が自分の祖母の姿と重なり、一緒に涙したこともあります。「同じ被害者を出さないためにも、一日も早く犯人を捕まえなくては」と寝食を忘れて犯人を追い続けました。犯人逮捕の報告をしたときのおばあちゃんの喜んだ顔でそれまでの苦労や疲労感が充実感に変わったことは忘れられません。

今、私たち警察官には、地域の安全・安心の確保が何より求められています。これからも、真の「勧善懲悪」のため、悪と闘い、正義を実現していきたいと思います。

 
岡山県警察本部生活安全部生活環境課 岸 正康 巡査部長

山岳遭難“ゼロ”を目指して


徳島県那賀警察署地域課坂州駐在所

久保脇 和朗(くぼわき かずお) 警部補

 
うずしお君
うずしお君

私が勤務する駐在所の管内は、那賀奥と呼ばれ、四国の主峰の一つである剣山(つるぎざん)山頂に接し、山の自然を求めて多くの登山客が訪れます。しかし、管内の山々には、案内標識もなければ、急峻な登山道であっても手すり等もないため、これまでにもベテランの登山者ですら道に迷い、崖から転落死するといった事案も発生しています。また、管内は樹々が深く、上空からの捜索が困難であるため、入山しての捜索活動が必須となり、捜索者にも危険が伴います。

そこで、町村役場や登山仲間の協力を得て、登山口や登山道の分岐点に案内標識を設置したり、登山道の整備を行ったりと、登山者の安全確保に努めてきました。また、駐在所に備え付けた入山届で登山者を把握するとともに、警ら中に登山者を見かけた時には、危険箇所や迷いやすい地点を教示するなど、山岳遭難の防止に努めてきました。その結果、以前に比べて山岳遭難の件数は減少し、多くの山岳遭難者を救助することができました。

坂州駐在所に配置されてから15年が経過し、私の警察人生も残り数年となりましたが、山岳遭難“ゼロ”を目指して、これまで以上に妻と二人三脚で頑張ってまいります。

 
徳島県那賀警察署地域課坂州駐在所 久保脇 和朗 警部補

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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