第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

7 食の安全に係る事犯、保健衛生事犯等

(1)食の安全に係る事犯

平成24年中の食の安全に係る事犯(注)の検挙状況は表2-4のとおりであり、厚生労働大臣が定めた規格基準に適合しない方法で加工・調理した生食用牛肉を販売する事犯や外国産食品を国産食品と表示して原産地を偽装した事犯の検挙が見られた。

注:食品衛生関係事犯(食品衛生法違反等)及び食品の産地等偽装表示事犯(不正競争防止法違反等)
 
表2-4 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
表2-4 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
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(2)保健衛生事犯

警察では、厚生労働大臣の承認を得ていない医薬品(以下「無承認医薬品」という。)を広告・販売するなどの薬事法違反、無資格で医行為を行うなどの医師法違反等の保健衛生事犯(注)の取締りを行っている。無承認医薬品については、最近、中国を仕出地とするものが多く、平成24年中の無承認医薬品の広告・販売に係る薬事法違反事件で無承認医薬品の仕出地が国外と判明した35事件のうち、21事件が同国を仕出地とするものであった。これらの無承認医薬品については、無承認医薬品の広告が掲載されている日本語のウェブサイトを通じて注文を受け付け、外国から国際郵便で日本の購入者に届けられるという形態で流入するものが多い。

こうした状況を踏まえ、警察では、中国等の外国捜査機関に対し情報を提供し、被疑者の検挙やウェブサイトの削除を要請するなどしている。

注:薬事関係事犯(薬事法違反、薬剤師法違反等)、医事関係事犯(医師法違反、歯科医師法違反等)及び公衆衛生関係事犯(食品衛生法違反、狂犬病予防法違反等)
 
表2-5 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
表2-5 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
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事例

医師免許を持たない男(43)は、22年6月頃から23年11月頃にかけて、実在する医師名義で偽造した医師免許証を使用して複数の病院に勤務し、健康診断に伴う触診等の診察や疾病判定を行うなどの医行為を行い、病院から約1,200万円をだまし取った。25年1月までに、同人を詐欺罪、偽造有印公文書行使罪及び医師法違反(無免許医業、名称使用制限)で検挙した(警視庁、神奈川、長野)。

(3)知的財産権侵害事犯

平成24年中の知的財産権侵害事犯の検挙状況は表2-6のとおりであり、偽ブランド品については表2-7のとおり、大半が中国から密輸入されている。これらの偽ブランド品については、偽ブランド品の広告が掲載されている日本語のウェブサイトを通じて注文を受け付け、外国から国際郵便で日本の購入者に届けられるという形態で密輸入されるものが多い。

こうした状況を踏まえ、警察では、中国等の外国捜査機関に対し情報を提供し、被疑者の検挙やウェブサイトの削除を要請している。また、不正商品対策協議会(注)における活動を始め、権利者等と連携した知的財産権の保護及び不正商品の排除に向けた広報啓発活動を推進している。

注:昭和61年、不正商品の排除及び知的財産権の保護を目的として、知的財産権侵害に悩む各種業界団体により設立された任意団体。警察庁等の関係機関と連携し、シンポジウムの主催や各種催物への参加を通じて、広報啓発活動、海外における不正商品販売の実態調査、海外の捜査機関や税関等に対する働き掛け等を行っている。
 
不正商品対策協議会と連携した広報啓発活動
不正商品対策協議会と連携した広報啓発活動
 
表2-6 知的財産権侵害事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
表2-6 知的財産権侵害事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
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表2-7 押収した偽ブランド品のうち、仕出国・地域が判明したものの国・地域別押収状況の推移(平成20~24年)
表2-7 押収した偽ブランド品のうち、仕出国・地域が判明したものの国・地域別押収状況の推移(平成20~24年)
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(4)環境事犯

警察では、環境を破壊する犯罪のうち、国民の健康を脅かす可能性の高い有害廃棄物の不適正処理等の事犯を重点的に取り締まるとともに、関係機関に必要な情報を提供して、環境被害の拡大防止と早期の原状回復を促している。

 
表2-8 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
表2-8 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
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