第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

6 ヤミ金融事犯等

(1)ヤミ金融事犯等

平成24年中のヤミ金融事犯(注)の検挙状況は表2-3のとおりであり、このうち暴力団が関与する事件は14.8%であった。

注:出資法違反(高金利等)及び貸金業法違反並びに貸金業に関連した詐欺、恐喝、暴行等に係る事犯

警察への相談件数やヤミ金融事犯の検挙事件数及び検挙人員は減少傾向にある。警察では、各都道府県警察に設置しているヤミ金融事犯集中取締本部による継続した取締りのほか、口座凍結のための金融機関への情報提供、ヤミ金融に利用され凍結された口座の名義人情報の金融機関への提供の拡大等の総合的な対策を行っている。24年中、ヤミ金融に利用された疑いのある口座として金融機関に情報提供し凍結を求めた件数は2万3,786件であった。

 
表2-3 ヤミ金融事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
表2-3 ヤミ金融事犯の検挙状況の推移(平成20~24年)
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コラム③ ヤミ金融事犯等に悪用されるレンタル携帯電話サービス等の犯罪利用防止対策

ヤミ金融事犯等を敢行する者は、自己への捜査を免れるためにレンタル携帯電話サービスを悪用したり、無登録貸金業広告等をウェブサイトに掲載するためにレンタルサーバサービス等を悪用したりする状況が認められる。また、レンタル携帯電話事業者の中には、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律で定められた貸与時の本人確認を履行することなく漫然と携帯電話を貸与している事業者が存在する状況が認められる。

このような状況に鑑み、警察では、悪用されたレンタル携帯電話の実態把握やレンタル携帯電話事業者に対する解約要請、プロバイダ等に対する削除要請を行っており、24年中のレンタル携帯電話事業者に対する解約要請は2,763件、レンタルサーバサービス等を提供するプロバイダ等に対するウェブサイトの削除要請は419件であった。また、悪質な事業者を検挙するなどレンタル携帯電話等の犯罪利用防止対策を推進している。

(2)不動産取引をめぐる事犯

平成24年中の不動産取引をめぐる事犯の検挙事件数は50事件、検挙人員は70人で、検挙した事件の適用法令は、宅地建物取引業法、建設業法等であった。

事例

二級建築士の男(64)は、22年9月から23年9月にかけて、4回にわたり、一級建築士として業務を行う目的で、市職員等に対し、自らを一級建築士と記載した建築確認申請書を提出して一級建築士の名称を使用するとともに、偽造した自己名義の一級建築士免許証の写しを提出した。24年10月、同人を建築士法違反(業務目的の名称使用)及び偽造公文書行使罪で逮捕した(神奈川)。



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