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トピックスIII 良好な自転車交通秩序の実現に向けて


 自転車に乗るときは、車両であることを自覚し、ルールを守るようにしましょう。また車の運転者や歩行者も自転車のルールを知り、お互いに思いやりの気持ちを持って安全を心掛けましょう。

 自転車は、幼児から高齢者まで幅広い層に利用されており、特に最近では東日本大震災による交通の混乱等を機に、通勤手段等としても注目を集めていますが、その一方で、自転車関連事故は全交通事故の約2割を占め、また、自転車利用者の交通ルール・マナー違反に対する国民の批判の声は後を絶たず、通行環境の整備も不十分な状況です。
 こうした状況を踏まえ、警察庁においては平成23年10月に「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」という通達を発出し、関係機関・団体等と連携しつつ、自転車対策に積極的に取り組んでいます。
 
図III-1 自転車関連事故発生件数と全交通事故に占める構成率の推移(平成14~23年)
図III-1 自転車関連事故発生件数と全交通事故に占める構成率の推移(平成14~23年)
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(1)自転車対策の基本的考え方

 警察では、平成19年の道路交通法改正等を踏まえ、自転車の交通秩序の整序化に向けた各種対策に取り組んできましたが、今回の通達では、従来の対策を引き続き推進することに加え、特に自転車は車両であるということを交通社会を構成する全ての者に理解してもらうことを重点としており、それにより自転車利用者と歩行者双方の安全を確保していくことをその基本的考えとしています。
 
図III-2 総合対策の概要
図III-2 総合対策の概要

(2)良好な自転車交通秩序の実現のための諸対策

 警察では、上記のような基本的考え方の下、自転車の通行環境の確立、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、自転車に対する指導取締りの強化といった対策を総合的に進めています。

① 自転車通行環境の確立

 警察では、歩行者、自転車等の交通主体が安全に通行でき、かつ、適切に共存できるよう、道路管理者と連携して、自転車専用の走行空間(自転車専用通行帯(注1)及び自転車道(注2))を整備するとともに、普通自転車(注3)の歩道通行を可能とする交通規制の実施場所の見直し等を通じて自転車と歩行者の安全の確保に努めています。

注1:交通規制により指定された自転車専用の車両通行帯
注2:縁石線や柵等の工作物によって分離された自転車専用の走行空間
注3:車体の大きさと構造が一定の基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両をけん引していない自転車
 
自転車専用通行帯の設置例(神奈川県横浜市)
自転車専用通行帯の設置例(神奈川県横浜市)
 
自転車道の整備例(鹿児島県鹿児島市)
自転車道の整備例(鹿児島県鹿児島市)

② 自転車利用者に対するルールの周知徹底

 地方公共団体、学校、自転車関係事業者等と連携し、「交通の方法に関する教則」や「自転車安全利用五則」を活用するなどして、児童・生徒、高齢者、主婦等の幅広い自転車利用者に対して自転車の通行ルール等の周知を図っています。
 
図III-3 自転車安全利用五則
図III-3 自転車安全利用五則

③ 自転車安全教育の推進

 学校等と連携して、児童・生徒に対する自転車安全教育を推進しており、スタントマンによる事故の再現や自転車シミュレーターの活用等による参加・体験・実践型の自転車教室を開催するなど、教育内容の充実に努めています。平成23年中、児童・生徒や高齢者等を対象とした自転車教室を全国で約3万回開催し、約440万人が受講しています。また、更新時講習等の各種運転者教育の機会において、自動車等の運転者の立場から、自転車の安全を確保するための留意事項等についての教育の実施に努めています。
 
スタントマンによる事故の再現
スタントマンによる事故の再現

④ 自転車に対する指導取締りの強化

 自転車指導啓発重点地区・路線(注4)を中心に、自転車利用者の無灯火、二人乗り、信号無視、一時不停止等に対する指導警告を強化するとともに、制動装置不良自転車(ブレーキがない自転車等)の運転のほか、違反行為により通行車両や歩行者に対する具体的危険を生じさせたり、指導警告に従わず違反行為を繰り返したりするなどの悪質・危険な交通違反に対しては、交通切符を適用した検挙措置を講ずるなど厳正に対処しています。

注4:自転車と歩行者との交通事故の発生状況、地域住民の苦情・要望の状況等を踏まえ、全国1,860か所(平成24年1月1日現在)を指定し、自転車利用者に対する街頭における指導啓発活動等を推進しています。
 
制動装置不良自転車の取締り状況
制動装置不良自転車の取締り状況

 III 良好な自転車交通秩序の実現に向けて

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