特集:大規模災害と警察~震災の教訓を踏まえた危機管理体制の再構築~ 

第2節 災害に係る危機管理体制の再構築

1 東日本大震災の対応を踏まえた災害対策の検討

(1)災害対策検討委員会の設置

 警察では、これまで、災害警備計画等を策定し、随時見直しを図るなど災害に係る危機管理体制の構築に努めてきたが、今後も各種の大規模災害の発生が懸念される中、警察においては、本震災の対応を踏まえて既存の体制を再点検し、今後発生し得る災害に備えて体制を再構築することが緊急に求められるところである。
 そこで警察庁では、本震災の反省・教訓や政府の各種方針を踏まえて警察庁及び都道府県警察における災害対策の見直しを幅広く検討するため、平成23年11月、警察庁次長を長とする災害対策検討委員会を設置した。
 同委員会は、危機管理体制の再構築に向けて重点的に検討すべき事項を取りまとめるなど、組織横断的な検討を進めている。また、24年1月までに、全ての附属機関、地方機関及び都道府県警察においても、本部長等を長とする災害対策検討委員会を設置し、災害対策に関する総合的かつ集中的な検討を行っている。
 
警察庁における災害対策検討委員会
警察庁における災害対策検討委員会

(2)災害対策検討委員会における重点検討事項

 警察庁の災害対策検討委員会は、都道府県警察等に対し、既存の計画に基づく災害対策の実施状況について再確認するとともに、本震災を踏まえた被害想定の見直しを行い、業務継続計画の策定やバックアップ体制の確保等、約90項目について重点的な検討を行うよう指示した。
 また、警察庁においても、首都直下地震を想定した業務継続体制の検証を進めるとともに、部隊派遣、交通規制関係等の制度の改善・見直し等を行うこととした。
 
図-8 都道府県警察等における重点検討事項
図-8 都道府県警察等における重点検討事項
 
図-9 警察庁における重点検討事項
図-9 警察庁における重点検討事項

(3)防災業務計画の改定

 国家公安委員会及び警察庁は、平成23年12月の政府の防災基本計画の改定を踏まえ、24年3月に「国家公安委員会・警察庁防災業務計画」を改定した。今回の改定では、これまで震災対策編の一部であった津波災害対策を独立の編として扱い、津波によって浸水が予想される地域の危険箇所・災害時要援護者等の実態把握、予想される津波到達時間等を考慮に入れた避難誘導等、津波災害対策として特記すべき事項を定めた。これにより、災害に備えての事前対策や災害発生時の対策に関し警察が執るべき措置を具体的に示し、警察における災害対策の推進を図っている。
 
図-10 防災業務計画の構成
図-10 防災業務計画の構成
 
図-11 都道府県警察における津波災害対策の概要
図-11 都道府県警察における津波災害対策の概要

 第2節 災害に係る危機管理体制の再構築

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