第3章 組織犯罪対策 

3 犯罪収益の剥奪

 犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するため、これを剥奪することが重要である。警察では、没収(注1)・追徴(注2)の判決が言い渡される前に犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用して没収・追徴の実効性を確保している。

注1:物の所有権及び金銭債権を剥奪して国庫に帰属させる処分を内容とする財産刑をいう。
注2:没収することができる物及び金銭債権の全部又は一部を没収することができない場合に、その価額の納付を強制する処分をいう。

(1)没収・追徴の状況

 第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、表3-12のとおりである。
 
表3-12 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成18~22年)
表3-12 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成18~22年)
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(2)起訴前の没収保全

 平成23年中における起訴前の没収保全命令は、組織的犯罪処罰法で賭博、ヤミ金融事犯、わいせつ物頒布等事犯、売春防止法違反、詐欺、廃棄物処理法違反等に関して101件(前年比31件(44.3%)増加)発出され、麻薬特例法で14件(前年比1件(7.7%)増加)発出されている。
 
表3-13 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成19~23年)
表3-13 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成19~23年)
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 第4節 犯罪収益対策

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