第3章 組織犯罪対策 

2 国際犯罪組織の動向

(1)来日外国人犯罪の共犯率

 平成23年中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は53.5%と、日本人(14.8%)の約3.6倍に上り(注)、罪種別にみると、住宅を対象とした侵入盗で93.4%と日本人(15.6%)の約6.0倍に上るなど、共犯事件の割合が極めて高い。
 このように、来日外国人による犯罪は日本人によるものと比べて多人数で行われる場合が多く、来日外国人によって組織的に犯罪が敢行される傾向がうかがえる。

注:来日外国人と日本人の共犯事件については、主たる被疑者の国籍・地域により、来日外国人による共犯事件であるか、日本人による共犯事件であるかを分類して計上している。
 
図3-15 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い(平成23年)
図3-15 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い(平成23年)
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(2)国際犯罪組織の特徴

 国際犯罪組織は、出身国や地域別に組織化される、組織の構成員は離合集散を繰り返して拡大していく、首魁のもとで役割を分担して犯罪を敢行するといった特徴を有しており、短期滞在の在留資格等により来日し、犯行後は本国に逃げ帰るいわゆるヒット・アンド・アウェイ型の犯罪等を敢行している。

事例①
 中国(香港)人の男(51)らは、平成22年6月から7月にかけて、北海道及び東京都内のデパートに油圧ジャッキ等の工具を使用し外壁に穴を開ける手口で侵入し、店内の貴金属店から高級腕時計や宝石等の貴金属を窃取した。手口等から、香港爆窃団の構成員による犯行の可能性が高いと認められたことから、香港警察と情報交換を行うなどして被疑者を特定し、23年2月までに中国(香港)人3人を窃盗罪等で逮捕した(警視庁、北海道)。
 
外壁に開けられた侵入用の穴
外壁に開けられた侵入用の穴

事例②
 ベトナム人の男(26)は、他のベトナム人と窃盗グループを形成し、20年2月から23年5月までの間、関東、中部、中国及び九州地方において、ドラッグストア店内の化粧品や医薬品等を大量に万引きするなどの手口で窃盗を繰り返していた。同年8月までに窃盗の実行犯や盗品買受業者のベトナム人21人及び日本人1人を窃盗、盗品等有償譲受け等で逮捕した。実行犯は盗品買受業者にあらかじめ指示された商品を窃取し、盗品買受業者は受け取った盗品を倉庫に隠匿してから仕分けしてベトナムへ輸出していた(広島、埼玉)。

 第3節 来日外国人犯罪対策

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