第4節 少年の非行防止と健全育成
1 少年非行の概況
(1)少年非行情勢
平成23年中の刑法犯少年の検挙人員は7万7,696人と、前年より8,150人(9.5%)減少し、8年連続の減少となった。しかし、同年齢層人口1,000人当たりの検挙人員は10.7人で成人の4.9倍となっており、引き続き高い水準にある。
23年中の触法少年(刑法)の補導人員は1万6,616人と、前年より1,111人(6.3%)減少した。不良行為少年の補導人員は101万3,167人と、前年より1,203人(0.1%)増加し、14年以降100万人を超える状態が続いている。
図2-55 刑法犯少年の検挙人員、人口比の推移(昭和24年~平成23年)
表2-24 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成14~23年)
表2-25 不良行為少年の補導人員の推移(平成14~23年)
(2)平成23年中の少年非行の主な特徴
① 刑法犯少年
平成23年中に検挙した少年の包括罪種別検挙人員は表2-26のとおりであり、窃盗犯や粗暴犯が前年より減少した一方で、風俗犯が前年より増加した。また、社会の耳目を集めるような、少年による重大な事件が続発した。
表2-26 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成14~23年)
事例①
男子高校生(16)は、23年11月、刃物で女子中学生の顎部を突き刺して殺害しようとし、さらに、同年12月、刃物で女子小学生の背部及び胸部等を突き刺して殺害しようとした。同月、殺人未遂等で逮捕した(埼玉、千葉)。
事例②
専門学校生(18)ら5人は、23年3月、東日本大震災の津波により被災した店舗内設置の現金自動預払機(ATM)を破壊し、現金約1,300万円を窃取した。同年7月、窃盗罪で逮捕した(宮城)。
事例③
予備校生(19)は、23年2月、京都大学等の入学試験において、携帯電話の使用によりインターネット掲示板に試験問題を投稿して得た閲覧者からの回答を用いて解答し、同大学等の業務を妨害した。同年3月、偽計業務妨害罪で逮捕した(京都、警視庁)。
② 再犯者
23年中の刑法犯少年の再犯者数は8年連続で減少したが、刑法犯少年全体に占める割合は14年連続で増加し、23年は32.7%と、前年より1.2ポイント上昇し、昭和47年以降で最も高くなっている。
図2-56 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成14~23年)
③ 中学生・高校生の検挙・補導人員(刑法)
23年中の刑法犯少年及び触法少年(刑法)のうち、中学生は3万7,946人、高校生は3万303人となっており、19年以降、中学生が高校生を上回っている。
図2-57 中学生・高校生の検挙・補導人員(刑法)の推移(平成14~23年)