第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

3 振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺

(1)特殊詐欺の現状

 特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく欺もうし、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝も含む。)の総称であり、その代表的なものが振り込め詐欺(オレオレ詐欺(注1)、架空請求詐欺(注2)、融資保証金詐欺(注3)及び還付金等詐欺(注4))である。
 23年中の振り込め詐欺の認知件数は前年より僅かに減少したものの、被害総額は前年より大幅に増加した。また、類型別にみると、オレオレ詐欺が認知件数、被害額ともに増加し、振り込め詐欺全体の被害総額が増加した大きな要因となっている。
 さらに、近年、未公開株・社債や外国通貨等の売買勧誘をめぐる詐欺等、従来の振り込め詐欺の類型には該当しない特殊詐欺が全国的に多発し、多額の被害が発生している。

注1:親族を装うなどして電話をかけ、会社における横領金の補填金等の様々な名目で現金が至急必要であるかのように信じ込ませ、動転した被害者に指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどの手口による詐欺
注2:架空の事実を口実に金品を請求する文書を送付して、指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどの手口による詐欺
注3:融資を受けるための保証金の名目で、指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどの手口による詐欺
注4:市区町村の職員等を装い、医療費の還付等に必要な手続を装って現金自動預払機(ATM)を操作させて口座間送金により振り込ませる手口による電子計算機使用詐欺(平成18年6月に初めて認知された。)
 
図2-21 振り込め詐欺の認知件数・被害総額の推移(平成16~23年)
図2-21 振り込め詐欺の認知件数・被害総額の推移(平成16~23年)
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図2-22 振り込め詐欺の検挙状況の推移(平成16~23年)
図2-22 振り込め詐欺の検挙状況の推移(平成16~23年)
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(2)特殊詐欺を撲滅するための取組

 警察では、依然として大きな被害が発生しているこれらの特殊詐欺を撲滅するため、引き続き諸対策を推進している。

① 警察の総力を挙げた取締活動の推進

 都道府県警察では、現に犯行を繰り返す特殊詐欺の犯行グループに重点を指向し、部門横断的な集中取締体制の構築等により、検挙の徹底を図っている。また、警察庁では、集約した情報を都道府県警察に還元し、戦略的な取締活動を推進するとともに、都道府県警察間の合同・共同捜査を積極的に推進している。
 また、架空・他人名義の携帯電話や預貯金口座等が特殊詐欺に利用されていることから、これらの流通を遮断し、犯行グループの手に渡らないようにするため、預貯金口座を売買するなどの特殊詐欺を助長する行為についても、関係法令を駆使して取締りに当たっている。
 さらに、外国に渡航した日本人が同国内の犯行拠点から日本国内の被害者に電話をかけているケースがあることから、外国治安機関と緊密な連携を図っている。

② 国民から寄せられた情報による先制的抑止措置の推進

 警察では、110番通報のほか、警察相談専用電話(全国統一電話番号「#(シャープ)9110」)及び専用メールアドレス等様々な窓口を通じて、特殊詐欺に関する相談や情報を幅広く受け付けている。また、国民から寄せられた情報を活用し、携帯電話事業者に対する犯行に利用された携帯電話の契約者確認の求め、金融機関に対する振込先指定口座の凍結依頼等による犯行ツールの無力化等を実施するほか、「だまされた振り作戦(注1)」による犯人の検挙を推進している。

注1:特殊詐欺の電話等を受け、特殊詐欺であると見破った場合に、だまされた振りをしつつ、犯人が利用する携帯電話や預貯金口座等に関する情報を聞き出すことにより、契約者確認の求めや口座凍結依頼を活用して犯行ツールの無力化を図るほか、犯人に現金等を手渡しする約束をした上で警察へ通報してもらい、被害者宅等の約束した場所に現れた犯人を検挙するものであり、国民の積極的かつ自発的な協力に基づく取組である。

③ 官民一体となった予防活動の推進

ア 広報啓発活動の推進
 特殊詐欺の被害を防止するためには、国民の犯罪に対する「抵抗力(注2)」を高めていくことが重要である。このため、警察では、巡回連絡の機会やテレビ等を通じて、その手口や被害に遭わないための注意点等の情報を積極的に国民に対して提供しているほか、コールセンターの活用や防犯ボランティア団体の協力により、高齢者宅へ電話をかけたり、戸別訪問をしたりして注意喚起するなど、高齢者等に対する直接的・個別的な働き掛けを推進している。

注2:国民の犯罪に対する認識度や被害に遭わないための注意力にとどまらず、国民自らが被害防止に向けた取組に積極的に参画するなどにより、犯罪を社会から排除していく力のこと。
 
広報啓発ポスター
広報啓発ポスター

イ 関係機関・団体等との連携
 特殊詐欺の被害金の多くがATMや金融機関窓口を利用して送金されていることから、金融機関の職員等による利用者への声掛けは、被害防止のために極めて重要である。このため、警察は、金融機関、コンビニエンスストア等に対し、特殊詐欺が疑われる場合の利用者への声掛けや警察への通報を積極的に行うよう求めるとともに、全国銀行協会が主催する被害防止のためのキャンペーンに協力するなど、官民一体となった予防活動を推進している。

コラム① 「家族の絆」で特殊詐欺撃退!


 警察では、家族間のコミュニケーションを増やしてオレオレ詐欺の被害を防ごうと、主な被害者である高齢者の子や孫の世代に対しても被害防止策を説明し、伝えてもらう取組を推進している。
 静岡県警察では、警察官が県内の企業を訪問して朝礼等に参加し、従業員らに対して「『お金の振り込みをお願いする電話をかけることはないからだまされないで』と親や祖父母等に伝えてほしい。家族間で合言葉を決めておくことも有効」などと呼び掛けている。
 
企業の朝礼で被害防止を呼び掛けている状況
企業の朝礼で被害防止を呼び掛けている状況

 第1節 犯罪情勢とその対策

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