第3章 安全かつ快適な交通の確保

2 運転者施策

(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施

道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者に対しては、行政処分を適切に実施し、道路交通の場から早期に排除する必要がある。

警察では、平成21年6月から、一定の悪質・危険な行為をした運転者が運転免許を取り消された場合に、運転免許を受けることができない期間の上限が10年間に引き上げられたことを踏まえ、行政処分の厳正かつ迅速な実施に努め、悪質・危険な行為をした運転者の早期排除に努めている。

表3―6 運転免許の行政処分件数の推移(平成18~22年)

(2)運転免許手続等の利便性の向上と国民負担の軽減

警察では、運転免許証の更新に係る国民の負担を軽減するため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署への更新窓口の設置、申請書の写真添付の省略、住所地を管轄する公安委員会以外の公安委員会を経由した更新申請の受付(優良運転者に限る。)等の施策を推進している。また、平成22年5月の事業仕分けにおいて、更新時講習の受講者の負担を下げるべきとの指摘を受けたことから、講習で使用されている教材の在り方について見直しを進めている。

さらに、障害者の利便性向上のため、試験場施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付けた学科試験の実施や字幕入り講習用ビデオの活用等を推進している。また、障害者や一定の病気にかかっている者が安全に運転できるか個別に判断するため、専門知識の豊富な職員を配置し、運転適性相談活動の充実を図っている。特に、講習予備検査の導入に伴い、講習予備検査の受検者又は家族から今後の運転の適否や認知症の受診が可能な医療機関等についての相談があった場合に適切に対応するため、相談体制の強化や相談場所の確保に努めている。

(3)国際化への対応

外国等の行政庁等の運転免許を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できる制度があり、平成22年中の同制度による運転免許証の交付件数は2万7,329件であった。また、警察では、外国人運転者のための安全教育ビデオを作成し、その活用を図るとともに、地域の実情に応じ、外国人運転者に対する安全教育の充実に努めている。

(4)新様式の運転免許証の導入

平成22年7月、道路交通法施行規則が改正され、本籍欄のない運転免許証が導入されることとなった。本籍については、免許保有者のプライバシー保護のため、氏名や生年月日等とともに、IC チップに電磁的に記録されている。

新様式の運転免許証

新様式の運転免許証


第3節 運転者対策

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