第2章 組織犯罪対策の推進

2 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況

平成22年中におけるマネー・ローンダリング事犯(注1)の検挙件数は、組織的犯罪処罰法違反で205件(前年比21件減少)、麻薬特例法違反で9件(前年比1件減少)であり、暴力団構成員等によるものが、組織的犯罪処罰法違反で43.9%、麻薬特例法違反で55.6%を占めている。

22年中における暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪(注2)別にみると、主要なものとしては、詐欺が24件、ヤミ金融事犯が17件、売春防止法等違反が15件となっているが、その他にも、賭博、窃盗、わいせつ物頒布等事犯、薬事法違反、商標法違反等と多様であり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリング行為を行っている実態がうかがわれる。

また、22年中の組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯のうち、11件が来日外国人によるものであった。

表2―13 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成18~22年)

注1:マネー・ローンダリングとは、一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見、犯罪の検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法第9条、第10条及び第11条並びに麻薬特例法第6条及び第7条でマネー・ローンダリングが犯罪とされている。

注2:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリング行為の対象となる犯罪

事例

海外に拠点を置くナイジェリア人犯罪組織と関係を有するナイジェリア人の男(44)らは、20年10月、米国内で敢行された詐欺事件の詐取金(総額約28億円)を正当な振込送金であるかのように装って、米国内の銀行口座から、日本、韓国等7か国の指定口座に入金させ、犯罪収益金の一部であることを知りながら、約9億8,000万円を日本国内の銀行口座に振り込ませ、正当な事業収益と偽って引き出した。22年9月、ナイジェリア人3人、ガーナ人1人及び日本人2人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した(警視庁、埼玉、宮城)。


第4節 犯罪収益対策

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