第2章 組織犯罪対策の推進

4 警察の銃器対策

(1)銃器の摘発

警察では、犯罪組織の武器庫の摘発や密輸・密売事件等の摘発に重点を置いた取締りを行うなど、総合的な銃器対策を推進している。近年、拳銃の押収丁数が減少傾向にあるのは、暴力団等の犯罪組織が隠匿や密輸・密売の方法をますます潜在化・巧妙化させ、押収が困難になっていることによるものと考えられる。

<1> 拳銃の押収状況

拳銃押収丁数の推移は、図2―11のとおりである。平成22年中の暴力団構成員等からの押収丁数は全押収丁数の24.7%を占め、このうち45.9%が山口組からの押収であった。

図2―11 拳銃押収丁数の推移(平成13~22年)

<2> 武器庫事件の検挙状況

武器庫事件(注1)の検挙状況の推移は、表2―10のとおりである。摘発した武器庫は、全て暴力団が組織的に管理していたものであり、暴力団構成員等の交友者宅や貸倉庫内に拳銃を隠匿するなど、組織管理の手法は一層巧妙化している。

表2―10 武器庫事件の検挙状況の推移(平成13~22年)

注1:組織管理に係る3丁以上の拳銃を押収した事件

<3> 拳銃等密輸入事件の情勢

拳銃等密輸入事件(予備を含む。)の検挙状況の推移は、表2―11のとおりである。

表2―11 拳銃等密輸入事件の検挙状況の推移(平成13~22年)

(2)国民の理解と協力の確保

警察では、平成20年5月、広く国民から拳銃に係る情報提供を促すことを目的として「拳銃110番報奨制度」(注2)を導入した。また、「銃器犯罪根絶の集い」(注3)等の催しを開催したり、「ストップ・ガン・キャラバン隊」(注4)等の民間ボランティア団体と連携した活動を行ったりすることで、銃器犯罪の根絶と違法銃器の排除を広く国民に呼び掛けている。

銃器犯罪根絶の集い

銃器犯罪根絶の集い

注2:全国統一のフリーダイヤル番号(0120―10―3774:ジュウミナナシ)を設定し、各都道府県警察で通報を受け付け、提供された情報の内容や捜査への協力の度合いに応じて報奨金を支払うもの

注3:警察庁と都道府県銃器対策本部等が毎年度共催している催し。平成22年7月に東京都八王子市で第16回大会が開催された。

注4:銃器犯罪の被害者の遺族や関係者、銃器問題に深い関心を持つ研究者等で構成するボランティア団体。


第2節 薬物銃器対策

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