第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

第4節 少年の非行防止と健全育成

1 少年非行の概況

(1)少年非行情勢

平成22年中の刑法犯少年の検挙人員は、7年連続の減少となった。しかし、同年齢層人口1,000人当たりの検挙人員は11.8人で成人の5.1倍となっており、引き続き高い水準にある。

22年中の触法少年の補導人員は、前年より減少した。不良行為少年の補導人員は前年より減少したものの、14年以降100万人を超える状態が続いている。

・22年中の刑法犯少年の検挙人員…8万5,846人(前年比4,436人(4.9%)減少)

・22年中の刑法犯総検挙人員に占める少年の割合…26.6%(前年比0.5ポイント減少)

・22年中の同年齢層の人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員…11.8人(前年比0.6人減少)

図1―50 刑法犯少年の検挙人員・人口比の推移(昭和24~平成22年)

表1―24 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成13~22年)

表1―25 不良行為少年の補導人員の推移(平成13~22年)

(2)平成22年中の少年非行の主な特徴

<1> 刑法犯少年

平成22年中に検挙した少年の包括罪種別検挙人員は表1―26のとおりであり、粗暴犯及び風俗犯が前年より増加した。また、社会の耳目を集めるような、少年による重大な事件が続発した。

表1―26 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成13~22年)

事例〔1〕

有職少年(18)らは、22年2月、同有職少年の元交際相手の女性を殺害しようと企て、同女性の友人女性及び実姉の腹部等を刃物で突き刺して殺害し、さらに、同女性の友人男性の胸部を突き刺して殺害しようとした。同月、当該少年らを未成年者略取罪等で逮捕し、同年3月、殺人罪等で再逮捕した(宮城)。

事例〔2〕

女子高校生(15)は、22年6月、在学する高等学校の教室内において、同級生(15)の腹部を刃物で突き刺して殺害しようとした。同月、当該少年を殺人未遂罪で逮捕した(神奈川)。

事例〔3〕

女子中学生2名(15)らは、22年7月、それぞれの家族を殺害しようと企て、同中学生の自宅に放火して住居を半焼させた上、就寝中の父親及び妹に火傷の怪我を負わせ、母親を焼死させた。同月、当該少年らを殺人未遂罪等で逮捕し、殺人罪等で送致した(兵庫)。

<2> 再犯者

22年中の刑法犯少年の再犯者数は7年連続で減少したが、刑法犯少年全体に占める割合は増加傾向にあり、22年は31.5%に及んでいる。また、再犯者の人口比(注)は3.7と、成人の再犯者の人口比(1.06)の3.5倍となっている。

図1―51 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成13~22年)

注:同年齢層の人口1,000人当たりの再犯者数


第4節 少年の非行防止と健全育成

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