警察活動の最前線

サイバー犯罪と対峙するために

前 埼玉県警察本部生活安全部生活安全企画課(現 草加警察署地域課)

三上山 知子(みかみやまともこ) 巡査部長

埼玉県警察ポッポくん

埼玉県警察ポッポくん

「皆さん全員が、サイバー犯罪の被疑者にも被害者にもなる危険があります。」

サイバー犯罪対策係として事件捜査や被害防止の広報啓発活動等に携わる中で、インターネット利用者の危機意識の低さを強く感じている私は、サイバー犯罪防止を訴える講演等において、必ずこうした言葉を伝えるようにしています。

インターネットの普及で世の中が便利になった一方、利用者の危機意識と規範意識の希薄さを受けて、私たちの身近なものとなっているサイバー空間には違法・有害な情報が氾濫して、今や社会問題となっています。私は統計も担当しているので、数字からもサイバー空間の状況の悪化を感じます。

先日も、不正アクセスで検挙した中学生から「他人のID を勝手に使ってもバレないし、ゲームにアクセスしただけなら犯罪にならないと思った。」と聞きました。その中学生は、現実と非現実を区別できず、パソコン上の行為なら許されるだろうというゲーム感覚で犯罪を犯していたのですが、目の前にあるものはただの機械でも、その向こうには心を踏みにじられている人がいる事を忘れないで欲しいものです。

今は、サイバー犯罪に対峙(じ)するため経験を積み、基礎と実戦の業務知識をしっかり身に付けたい!その思いが募っています。

三上山 知子 巡査部長

サイバーテロとの闘い

前 関東管区警察局新潟県情報通信部情報技術解析課(現 栃木県情報通信部情報技術解析課)

菊池 祐司(きくちゆうじ) 技官

警察庁

重要インフラの基幹システムがサイバー攻撃を受けるといった事案が発生した場合、限られた時間内で情報を正確に分析し、攻撃の遮断、被害拡大の防止やシステムの復旧を図る必要があります。

そのためには日頃からの備えが重要であり、警察では、こうした事案に備え、警備部門、生活安全部門、情報通信部門が連携して緊急対処訓練を実施していますが、訓練には「サイバー攻撃手法や防御方法の技術的知見」を反映させるという情報通信部門の役割が非常に重要になっています。また、訓練には警察だけでなく重要インフラ事業者等も参加していることから、それら事業者等に対しても的確な指導・助言をする必要があります。この訓練の成功に向け、私は寸暇を惜しんで最近のサイバー攻撃対策の技術を勉強し、得られた知識を訓練シナリオに反映させて、より充実した訓練の実施に努めています。

このように、今後とも日々進化する情報通信技術を熱心に勉強し、サイバーテロ対策に活かして、国民生活の安全に寄与していきたいと思います。

菊池 祐司 技官


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