特集II:安全・安心で責任あるサイバー市民社会の実現を目指して

特集II:安全・安心で責任あるサイバー市民社会の実現を目指して

近年、インターネットは、我々の社会・経済活動にとって極めて重要なインフラとして国民生活を支える一方で、サイバー犯罪が増加し、違法情報・有害情報が氾濫するなど、その負の側面も大きくなっています。そのため、平成18年の警察白書では、「安全・安心なインターネット社会を目指して」と題した特集を組み、サイバー空間における様々な問題と、その解決に向けた取組について取り上げるなどしました。

それから5年が経過しましたが、インターネットの利用者数が9,000万人を超えたほか、インターネットの利便性は飛躍的に向上し、場所を選ばず利用できる環境の整備が進むとともに、電子掲示板やブログ、コミュニティサイト等を利用した活動も活発に行われるようになってきています。

その反面、サイバー犯罪は増加の一途をたどり、サイバー空間に氾濫する違法情報・有害情報の件数やサイバー空間で発生した名誉毀(き)損、誹謗(ひぼう)中傷に関する相談件数等も増加しています。依然としてこうした問題が生じ、むしろ悪化しているとも言える状況に陥ったのは、かつて想定していなかった手口の出現やサイバー犯罪を取り巻く捜査環境の厳しさといったことに加えて、匿名性の高さ等から「サイバー空間では何をやってもよい」といった歪んだ認識が生まれ、規範意識が低下していることも原因として考えられます。

すなわち、サイバー空間における社会・経済活動は質量ともに年々増大し、今やサイバー空間は現実空間と同視できる程度の新たな公共空間となっているにもかかわらず、いまだ、現実空間ほどには犯罪の取締りや犯罪抑止の取組が進展していないのです。

こうした状況を打破し、サイバー空間における安全・安心を確保するためには、警察がサイバー犯罪に対する取締りを強力に推進するとともに、全ての人々が、サイバー空間の現状について問題意識を共有し、「安全・安心で責任あるサイバー市民社会」を形成していく必要があります。

そのために、本特集では、「安全・安心で責任あるサイバー市民社会の実現を目指して」と題し、第1節でサイバー犯罪に関する情勢を概観し、第2節でこれに対する警察等の取組について詳述した上で、第3節でサイバー犯罪対策の抜本的強化に向け、今後行う必要のある取組を提示しました。

本特集を通じて、国民の皆様に、サイバー犯罪の脅威やサイバー空間における規範意識の確立の重要性に関する認識を深めていただき、今後の警察の取組に対して御理解と御協力をいただくとともに、皆様一人一人がサイバー市民社会の一員として果たすべき役割について考えていただく契機となれば幸いです。


特集II:安全・安心で責任あるサイバー市民社会の実現を目指して

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