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トピックスV 2010年APECの成功に向けて

 平成22年11月13、14日、神奈川県横浜市においてAPEC首脳会議が開催されます。2010年APECの成功のため、皆様の御理解と御協力をお願いします。

 2010年APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議は平成22年11月13、14日に、同閣僚会議は同月10、11日に、それぞれ神奈川県横浜市において開催されます。また、関連閣僚会合が同年6月から11月にかけて順次、全国7か所で開催されます。
 警察では、APEC警備の実施に当たって、テロ等違法行為の未然防止に万全を期し、要人の身辺の安全と行事の円滑な遂行を確保するため、検問、交通規制等を行います。
 そのため、御不便をお掛けすることもありますが、APEC警備に御理解をいただくとともに、不審物等を発見された場合には110番通報するなど、御協力をお願いします。
 
図V-1 2010年APEC首脳会議等の開催地
図V-1 2010年APEC首脳会議等の開催地

(1)過去のAPECの開催状況
 我が国におけるAPEC首脳会議の開催は、1995年(平成7年)のAPEC大阪会議以来、15年ぶり2回目です。APEC大阪会議をめぐっては、極左暴力集団や右翼等による「テロ、ゲリラ」事件の発生が懸念されましたが、全国からの派遣部隊を含む約2万5,000人の警察官を動員して警備諸対策を講じた結果、これらの事件の発生を防ぐことができました。
 近年のAPEC首脳会議等の開催時には、反グローバリズムを掲げる過激な勢力等が「反APEC」等を主張し、会場周辺において過激な抗議行動を行っています。2005年(17年)に韓国釜山で開催された際には、農民団体、労働団体、市民団体等が最大時には約3万人規模となるデモを行い、その過程で、デモに参加した一部の者が暴徒化し、警察部隊に投石し、鉄パイプを振り回すなど、違法行為を伴う過激な抗議行動を行いました。
 
表V-1 韓国釜山会議以降のAPEC首脳会議開催状況
表V-1 韓国釜山会議以降のAPEC首脳会議開催状況
 
釜山APECにおけるデモ隊と警察部隊の衝突
釜山APECにおけるデモ隊と警察部隊の衝突

(2)我が国におけるAPEC開催をめぐる情勢
 2009年(平成21年)12月に米国旅客機を標的としたテロ未遂事件が発生するなど、国際テロ情勢は依然として厳しく、アジア太平洋地域の首脳が一堂に会するAPEC首脳会議の開催を機に、我が国がテロの標的となる可能性も否定できません。また、首脳会議が首都圏の都市部で開催されることから、鉄道等の公共交通機関、大規模集客施設等に対するテロへの警戒が必要であるほか、反グローバリズムを掲げる過激な勢力等が市街地で抗議行動を行った場合には、周囲の野次馬が突如加わることによって大規模な混乱等へ発展することも危惧されます。加えて、極左暴力集団、右翼等の動向も予断を許さない状況にあるなど、我が国におけるAPEC開催をめぐる警備情勢は、極めて厳しい状況にあり、北海道洞爺湖サミット以上に困難な警備となることが予想されます。

(3)警察による警備諸対策
 警察庁では、平成21年11月20日、次長を長とする「2010年APEC警備対策委員会」を設置しました。また、首脳会議及び閣僚会議の開催地を管轄する神奈川県警察では、APEC対策課を設置したほか、全警察署に地域安全安心協力会等を設置し、地域住民の理解と協力が得られるよう、各種取組みを推進しています。さらに、各都道府県警察において、警備対策委員会等を設置するなど、全国一体となって警備諸対策を推進しています。
 
第1回2010年APEC警備対策委員会
第1回2010年APEC警備対策委員会

〔1〕 テロ対策
 警察では、テロを未然に防止するため、外国治安情報機関等との連携を一層緊密化するなど、情報の収集・分析を強化するとともに、水際対策や重要施設等の警戒警備を徹底しています。また、テロ関連情報を確実に入手するため、テロリストが犯行の準備段階において利用する可能性のある爆発物原料の販売事業者、旅館業者等に対して協力を要請するなどの取組みを推進しています。
 このほか、万一、テロが発生した場合に備えて、特殊部隊(SAT)(注1)、銃器対策部隊、NBCテロ(注2)対応専門部隊等の装備資機材の充実強化を図るとともに、実戦的な訓練を徹底するなど、テロ対処能力の向上に努めています。

注1:Special Assault Team
 2:N(Nuclear:核)B(Biological:生物)C(Chemical:化学)物質を使用したテロの総称

 
治安警備訓練
治安警備訓練

〔2〕 デモ・暴動対策
 開催期間中に行われ得るデモ等を適切に規制し、違法行為を封圧するため、機動隊等では実戦的な訓練を実施し、練度の向上に努めています。

〔3〕 要人警護対策
 2010年APECでは、21の国・地域の首脳、閣僚等が同時に我が国を訪れることから、要人を対象としたテロ等の発生が懸念されます。
 これらの各国首脳等に対する警護の万全を期するため、警察では、各国警備当局や関係機関と緊密な連携を図るとともに、要人の警護に当たる警護員の実戦的な訓練を徹底しています。
 
警護訓練
警護訓練

〔4〕 交通対策
 開催期間中は、会場周辺等において交通規制を行います。警察では、交通規制が国民生活に及ぼす影響を最小限にとどめるよう努めるとともに、会場周辺等における交通総量の抑制についてのお願いや具体的な交通規制の予定等についての広報を行っています。

〔5〕 通信対策
 警察では、指揮命令系統等を確保するための各種無線通信システムを始め、現場の状況を的確に把握するための映像通信システム及び警備本部・各部隊等相互間における情報の円滑な伝達や共有を図るための各種有線通信システムを構築しています。

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