特集:犯罪のグローバル化と警察の取組み 

4 終わりに

 警察は、社会経済情勢に伴い変化する犯罪に対して、困難を乗り越えつつ、対応してきた。
 我が国の治安に変化をもたらした要因の一つは、異質かつ残虐な外国人犯罪集団の流入であるが、この外国人犯罪が今、大きく変質を遂げようとしており、これが我が国の治安に新たな地殻変動を引き起こす要因となりかねない。世界的規模で活動する犯罪組織は、世界各地にネットワークやインフラを構築する過程で新たな犯行手口を取り込んでいる。こうした犯罪組織の我が国への浸透は、国内の伝統的な犯罪集団に対して、これらのネットワークやインフラを提供し、新たな犯行手口を知らしめることとなり、「犯罪ビジネスモデル」を再構築させ、新手の犯罪を敢行させかねない。このように、国際犯罪組織の我が国への浸透にとどまらず、国内の犯罪組織の変質をももたらす犯罪のグローバル化は、国内治安の「正面の脅威」となる危険性がある。したがって、この新たな脅威である犯罪のグローバル化に対して、今後、組織の総力を挙げて、的確に取り組んでいくことが求められる。
 警察は、時代の変化の兆しを鋭く見通し、柔軟かつ斬新な発想で、具体的な対策を編み出し、その取組みを集中的に推進することにより、犯罪のグローバル化という治安に対する重大な脅威に的確に対応し、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たしていかなければならない。

 第3節 今後の展望

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