特集:犯罪のグローバル化と警察の取組み 

4 捜査連携の強化

 国際犯罪組織は、都道府県警察の管轄とは無関係に、広域かつスピーディに活動しており、また、犯罪を敢行した地域にとどまる時間は極めて短い。
 したがって、都道府県警察が個別に捜査を進めるのみでは、事件の全体像を把握することが困難な場合が多く、また、国際犯罪組織の中枢を効果的に取り締まるには、管内の発生事件の処理という観点のみではなく、全国的な情勢を踏まえた上で、戦略的に事件化を進める必要がある。
 そこで、警察庁では、「犯罪のグローバル化対策室」において、都道府県警察が行っている内偵事件等の取りまとめを行い、事件間の競合関係を調整した上で、国際犯罪組織に真に打撃を与えるためには、何を端緒として事件化を図るべきかを調整し、関係都道府県警察による合同・共同捜査を指導することとしている。
 このような観点から、警察庁では、国際組織犯罪等に対する合同捜査体制を迅速に確立するため、戦略プランに基づき、国際犯罪捜査指定捜査員制度を導入した。この制度は、都道府県警察が、国際捜査の経験や知識を有する捜査員等をあらかじめ指定しておくことで、国際組織犯罪等に対する合同捜査本部設置事件において、必要に応じて迅速に指定捜査員を他の都道府県警察へ相互に派遣できるようにするものであり、都道府県警察の連携強化を目的としている。
 
図-19 国際犯罪捜査指定捜査員制度
図-19 国際犯罪捜査指定捜査員制度

 第2節 犯罪のグローバル化に対応するための戦略

前の項目に戻る     次の項目に進む