特集:犯罪のグローバル化と警察の取組み 

2 体制の構築

(1)体制の構築
 警察庁では、平成22年2月、警察庁次長を長とする「犯罪のグローバル化対策委員会」を設置し、犯罪のグローバル化に対応するための諸対策を総合的に推進している。同年4月には、国際犯罪組織に係る情報の収集、共有及び分析、都道府県警察に対する指導、外国治安機関等との間の調整を図ることを任務とするタスクフォースとして「犯罪のグローバル化対策室」を発足させた。
 また、都道府県警察では、警察本部長等を長とする組織横断的な体制を整備するとともに、国際組織犯罪に関する各部門の情報の集約・分析、他の都道府県警察との連絡・調整等を行うための関係部門によるプロジェクト・チーム(「犯罪のグローバル化対策室」等)を整備している。
 
警察庁における「犯罪のグローバル化対策室」の発足式
警察庁における「犯罪のグローバル化対策室」の発足式

(2)国際捜査に従事する捜査員の育成
 都道府県警察では、高い語学能力を有する者を警察官として採用し、各種研修を実施するなどして、国際捜査に従事する捜査員として育成し、外国人被疑者の取調べ等に当たらせている。
 また、国際組織犯罪等の捜査においては、外国語の習得はもとより、出入国管理手続や、国際捜査共助、刑事手続等に関する条約その他の内外の法制等、極めて幅広い分野にわたる特別の知識が要求されることから、警察庁では、警察大学校国際警察センターにおいて、国際捜査に関する実務研修等を実施するなど、捜査員の能力向上を図っている。
 
国際警察センターにおける研修の状況
国際警察センターにおける研修の状況

コラム8 通訳体制の整備

犯罪のグローバル化が進展する中、都道府県警察においては、高い語学能力を有する者を警察官として採用するだけでなく、一般職員としても採用し、各種研修を実施するなどして育成し、取調べの際の通訳等に当たらせている。
 しかしながら、警察部内でそのすべてに対応する人員を確保することは困難であることから、一部を民間の通訳人に依頼している。警察では、こうした民間の通訳人が、刑事手続等への理解を深められるよう、各種研修会を開催するほか、通訳ハンドブック等を配布するなどしている。
 また、通訳人の運用に当たっては、夜間等に突発的に発生する事件に迅速に対応する必要等があるため、都道府県警察に通訳センターを設置するなどして、通訳体制の整備に努めている。

 第2節 犯罪のグローバル化に対応するための戦略

前の項目に戻る     次の項目に進む