平成22年警察白書の刊行に当たって

　警察白書は、我が国の警察活動の現況を広く国民の皆様に理解していただくために作成しているものです。
　本年は、「犯罪のグローバル化と警察の取組み」と題する特集を組みました。
　今日の我が国における来日外国人犯罪を取り巻く状況についてみると、世界的規模で活動する犯罪組織の我が国への浸透、犯罪組織の構成員の多国籍化、犯罪行為の世界的展開といった特徴を持つ「犯罪のグローバル化」というべき状況がみられ、治安に対する重大な脅威となっています。
　そこで、この特集では、世界的規模で活動する犯罪組織が、世界各地に拠点を分散させ、役割分担や組織的サポートを行うことにより、組織の実態が不透明化・流動化し、捜査対象が世界的規模で拡散していることなどを説明するとともに、この重大な脅威に対する警察の取組みについて記述しています。
　また、特集以外にも特に国民の皆様にお伝えしたい事項をトピックスとして取り上げ、「2010年APECの成功に向けて」等5つの課題について解説しています。
　さらに、最新の治安情勢や治安再生への道筋を確実なものとするための警察活動の現況等について記述するとともに、「警察活動の最前線」では、現場で活躍する警察職員が率直な心情をつづった手記等を掲載しています。
　平成22年警察白書においては、より多くの方々にお読みいただけるよう、図表や写真を多く用い、説明が分かりやすくなるよう配意しました。この白書が、警察行政に対する国民の皆様の御理解を一層深めることに役立ちますとともに、今後の警察活動に対して、多くの御支援、御協力を賜りますことを心から願うものであります。

　平成22年7月

　　警察庁長官　安藤隆春