第5章 公安委員会制度と警察活動の支え 

6 シンクタンクの活動

(1)警察政策研究センター
 警察大学校に置かれている警察政策研究センターは、警察の課題に関する調査研究を進めるとともに、警察と国内外の研究者等との交流の窓口として活動している。
 
図5-16 警察政策研究センターの業務概要
図5-16 警察政策研究センターの業務概要

〔1〕 フォーラム等の開催
 関係機関・団体等と連携して、国内外の研究者・実務者を交えて社会安全等に関するフォーラム等を開催している。
 
表5-5 警察政策フォーラムの開催状況(平成21年)
表5-5 警察政策フォーラムの開催状況(平成21年)

事例
 平成21年7月、英国内務省犯罪局犯罪戦略課長を招き、「安全・安心なまちづくりの成果と課題」をテーマとしたフォーラムを開催した。大学教授、地方公共団体幹部職員及び警察庁・警視庁幹部職員がパネリストとして参加し、日英の取組みを紹介するとともに、活発な意見交換を行った。
 
フォーラムの開催状況
フォーラムの開催状況

〔2〕 大学関係者との共同研究活動の推進
 大学関係者と共同して研究活動を行っている。最近の研究活動として、慶應義塾大学大学院法学研究科との諸外国のテロ対策法制等に関する共同研究、早稲田大学社会安全政策研究所との少年非行・被害防止及び外国人犯罪に関する共同研究等がある。

〔3〕 大学・大学院における講義の実施
 警察政策に関する研究の発展及び普及のため、一橋大学国際・公共政策大学院において「社会安全政策論」の講義を出講しているほか、早稲田大学法科大学院、中央大学法科大学院、首都大学東京都市教養学部、法政大学法学部等の大学・大学院に職員を講師として派遣している。

〔4〕 警察に関する国際的な学術交流
 米国犯罪学会等の国際的な学術会議等に参加し、日本警察に関する情報発信を行っている。また、韓国警察庁警察大学治安政策研究所及びフランス高等治安・司法研究所(旧高等治安研究所)との間で協定を締結し、警察に関する国際的な学術交流を実施している。

事例
 21年11月、米国で開催された第61回米国犯罪学会に参加するとともに、ハーバード大学ウェザーヘッド研究所におけるセミナーにおいて日本における総合的な犯罪抑止政策に関して発表・講演を行った。

(2)警察情報通信研究センター
 警察大学校に置かれている警察情報通信研究センターでは、情報通信システムに関する技術、暗号技術等、警察活動にかかわる情報通信技術について研究しており、その成果は情報通信システムの整備や情報通信技術を悪用した犯罪対策に活用されている。

研究例
地域警察デジタル無線システムに係る通信の高度化に関する研究
 地域警察官が用いる移動通信システムを更新するに当たり、通信品質向上のため、新たな通信方式を採用することとした。これにより、必要となる周波数の幅が増加することから、音質や連続運用時間等、警察の移動通信システムとして備えるべき要件を満たしつつ、周波数利用効率を向上させる通信技術の研究を行った。

(3)科学警察研究所
 生物学、医学、心理学等の専門的知識・技術を有する研究員が、科学捜査、犯罪防止、交通事故防止等についての研究及び開発を行っている。また、各都道府県警察からの依頼により、事件、事故等に係る鑑定や検査を実施している。

研究例
ポリグラフ検査に関わる脳活動の研究
 ポリグラフ検査は、被験者が事件の詳細を知っているか否かについて、心拍数、呼吸、汗腺活動等の身体変化から推定する技術であり、犯罪捜査に広く活用されている。このポリグラフ検査の科学的基盤をより確かなものにするため、検査中の脳活動を測定し、事件に関係する事柄を示したときと、事件に関係しない事柄を示したときで、脳活動にどのような違いがみられるかを明らかにする研究を行っている。
 
事件関連刺激提示時の脳活動
事件関連刺激提示時の脳活動

 第2節 警察活動の支え

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