第5章 公安委員会制度と警察活動の支え 

2 公安委員会の活動

(1)国家公安委員会
 国家公安委員会は、国務大臣たる委員長及び5人の委員によって組織されており、委員は首相が両議院の同意を得て任命する。国家公安委員会では、国家公安委員会規則の制定、地方警務官(注)の任命や懲戒処分、指定暴力団の指定に際しての実質目的要件に該当する旨の確認等、警察法やその他の法律に基づきその権限に属させられた事務を行うほか、警察職員による各種の不祥事案の防止対策に関し警察庁を指導することなどにより、警察運営に関する大綱方針を示し、警察庁を管理している。
 平成21年中には、行方不明者発見活動に関する規則等、13の国家公安委員会規則を制定した。
 国家公安委員会は、通常、毎週木曜日に定例会議を開催しているが、定例日以外にも、委員相互の意見交換や警察庁からの報告の聴取を行うほか、国家公安委員会委員が各地を訪問し、都道府県公安委員会委員との意見交換や警察活動の現場の視察を行うことなどにより、治安情勢と警察運営の把握に努めている。また、このような活動の状況について、ウェブサイトにより紹介している。

注:都道府県警察の警視正以上の階級にある警察官

 
国家公安委員会の定例会議
国家公安委員会の定例会議

事例1
 21年11月、国家公安委員会委員長は、警視庁を視察し、警視総監から治安概要説明を受けたほか、総合指揮所、通信指令センター、鑑識課、科学捜査研究所等を視察した。
 
警視庁の担当者から説明を受ける国家公安委員会委員長(右から4人目)
警視庁の担当者から説明を受ける国家公安委員会委員長(右から4人目)

事例2
 21年11月、国家公安委員会委員は、熊本県を訪れ、熊本犯罪被害者支援センター(現 くまもと被害者支援センター)において、被害者支援状況の説明を受けたほか、熊本県公安委員会委員との意見交換等を行った。
 
熊本犯罪被害者支援センターの担当者から説明を受ける国家公安委員会委員(右側)
熊本犯罪被害者支援センターの担当者から説明を受ける国家公安委員会委員(右側)

(2)都道府県公安委員会
 都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、都、道、府及び指定県では5人、それ以外の県及び北海道の各方面では3人の非常勤の委員によって組織されており、委員は都道府県知事が都道府県議会の同意等を得て任命する。
 都道府県公安委員会は、運転免許、交通規制、犯罪被害者等給付金の支給裁定、古物営業等の各種営業の監督等、国民生活にかかわりのある数多くの行政事務を処理するとともに、管内における事件、事故及び災害の発生状況と警察の取組み、治安情勢とそれを踏まえた警察の各種施策、組織や人事管理の状況等について、定例会議の場等で、警察本部長等から報告を受け、これを指導することにより、都道府県警察を管理している。
 都道府県公安委員会は、おおむね月3回ないし4回の定例会議を開催するほか、警察署協議会への参加、教育委員会等の関係機関との協議、警察活動の現場の視察等により、治安情勢と警察運営の把握に努めている。また、このような活動の状況について、ウェブサイトにより紹介している。

事例1
 平成21年7月、長野県公安委員会は、「子どもの安全と健全育成」について、同県教育委員会と意見交換を行った。
 
長野県教育委員会委員と意見交換を行う長野県公安委員会委員
長野県教育委員会委員と意見交換を行う長野県公安委員会委員

事例2
 21年8月、兵庫県公安委員会委員長は、兵庫県佐用警察署を訪れ、台風第9号による豪雨のため甚大な被害を受けた地域を視察し、その被災状況や同地域における警察の活動状況について説明を受けた。
 
被災地域に設置された臨時交番を視察する兵庫県公安委員会委員長(左)
被災地域に設置された臨時交番を視察する兵庫県公安委員会委員長(左)

(3)公安委員会相互間の連絡
 国家公安委員会と各都道府県公安委員会は、常に緊密な連絡を保つため、各種の連絡会議を開催している。平成21年中は、国家公安委員会と全国の都道府県公安委員会との連絡会議を2回開催し、都道府県公安委員会による警察の管理の現状等についての意見交換を行った。
 また、21年中は、各管区及び北海道において、管内の府県公安委員会相互、道公安委員会と方面公安委員会相互の連絡会議が合計14回開催され、さらに、都、道、府及び指定県に置かれる15の公安委員会相互の連絡会議も開催され、国家公安委員会委員も出席し、各都道府県の治安情勢やそれぞれの取組みについての報告や意見交換が行われた。
 
全国公安委員会連絡会議(総会)
全国公安委員会連絡会議(総会)

 第1節 警察の組織と公安委員会制度

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