第4章 公安の維持と災害対策 

5 大衆運動の動向

(1)国際会議における過激な反グローバリズム運動
 2009年(平成21年)中は、4月に英国・ロンドンで開催されたG20金融サミットにおいて、反グローバリズムを掲げる勢力等約4,000人が抗議行動に取り組み、その過程で、一部の参加者が銀行の窓ガラスを破壊して行内に侵入するなど暴徒化し、80人以上が逮捕された。また、9月に米国・ピッツバーグで開催されたG20金融サミットにおいても、延べ約7,000人が無許可デモ等の抗議行動に取り組み、一部の参加者が店舗を破壊するなど暴徒化し、延べ約200人が逮捕された。さらに、12月にデンマーク・コペンハーゲンで開催されたCOP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)において、環境保護団体のみならず、反グローバリズムを掲げる勢力等延べ約5万2,000人が抗議行動に取り組み、一部の参加者が黒覆面を着装してデンマーク外務省や銀行の窓ガラスを破壊するなど暴徒化し、延べ約1,700人が身柄拘束された。

(2)過激さを増す捕鯨妨害活動
 米国の環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、2009年(平成21年)2月、南極海において、我が国の調査捕鯨船に対し、ロープの海中投下、信号弾の発射、酪酸入りの瓶の投てき等の妨害活動を行った。また、同年12月には、ロープの海中投下、酪酸とみられる液体入りの瓶の投てきに加え、レーザー光線の照射、発射装置を用いたカラーボール様の物の発射を行うなど、従来よりも一層過激な妨害活動を行った。
 
調査捕鯨船への妨害行為(提供:(財)日本鯨類研究所)
調査捕鯨船への妨害行為(提供:(財)日本鯨類研究所)

(3)在日米軍再編等をめぐる動向
 在日米軍再編問題をめぐり、いわゆる在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定に反対する団体等は、国会周辺等で、「グアム協定承認は許さない」などと訴え、また、辺野古新基地建設に反対する団体等は、沖縄県等で、「新基地建設反対、県内移設反対」などと訴え、それぞれ抗議集会やデモを行った。また、自衛隊の海外派遣に反対する団体等は、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律の成立をめぐり、国会周辺等で、抗議集会やデモを行った。
 
在日米軍普天間飛行場の県内移設に反対する抗議集会(時事)
在日米軍普天間飛行場の県内移設に反対する抗議集会(時事)

(4)雇用情勢をとらえた反貧困運動
 米国の金融危機に端を発した景気後退により、国内企業が非正規労働者を中心に大幅な人員削減を行う中、日本共産党の指導・援助により結成された全国労働組合総連合(以下「全労連」という。)等の労働組合や「労働者派遣法抜本改正」等を求める市民団体等は、平成20年末から21年初めにかけて、東京都内に「年越し派遣村」を開設し、仕事や住居を失った労働者の支援を行った。
 また、全労連は、21年11月8日、東京都内で、「労働者派遣法抜本改正」や「社会保障制度の拡充」等を求める市民団体等と共に「新しい未来(あす)へ!11・8国民大集会」に取り組んだ。
 
失業者の社会保障等を訴えるデモ(時事)
失業者の社会保障等を訴えるデモ(時事)

 第3節 公安情勢と諸対策

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