第4章 公安の維持と災害対策 

第3節 公安情勢と諸対策

1 オウム真理教の動向と対策

(1)オウム真理教の動向
 オウム真理教(以下「教団」という。)は、平成19年5月、主流派(「Aleph(アレフ)」)と上祐派(「ひかりの輪」)とに内部分裂した。主流派は、麻原彰晃こと松本智津夫を教祖と位置付け、「尊師」、「グル」と尊称し、松本及び同人の説く教団の教義への絶対的帰依を強調するなど、原点回帰を一層強めている。
 一方、上祐派は、松本からの脱却をアピールしたり、インターネットを使用して上祐代表の説法を公開して「開かれた教団」であることをアピールしたりするなど、観察処分を免れるため、外形上、松本の影響力を払拭(しょく)したかのように装って活動しているものとみられる。
 21年1月、教団は、現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があるとして、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき、公安調査庁長官の観察に付される処分の期間が24年1月まで3年間更新された。
 
図4-9 オウム真理教の拠点施設等
図4-9 オウム真理教の拠点施設等
 
警察庁指定特別手配被疑者(年齢は平成21年12月31日現在)
警察庁指定特別手配被疑者(年齢は平成21年12月31日現在)

(2)オウム真理教対策の推進
 警察庁指定特別手配被疑者である平田信、高橋克也及び菊地直子の3人は依然として逃走中であることから、警察では、広く国民の協力を得ながら追跡捜査を推進している。また、教団信者による組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進しており、平成21年中には、無免許で美容業を営んでいた信者1人を美容師法違反(無免許営業等)で逮捕し、教団施設等3か所を捜索した結果、顧客を信者として獲得していた実態が明らかになった。
 警察では、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、教団施設周辺の地域住民や関係する地方公共団体による要望を踏まえ、地域住民の平穏な生活を守るため、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒警備活動を実施している。
 
施設周辺での警戒警備活動
施設周辺での警戒警備活動

 第3節 公安情勢と諸対策

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