第3章 安全かつ快適な交通の確保 

2 近年死者数が減少している理由

 近年、死者数が減少傾向にある要因としては、シートベルト着用者率が向上して事故の被害が軽減されていること、高速で走行する車両の事故が減少していること、悪質性・危険性の高い事故が減少していること、歩行者の法令違反が減少していることなどが考えられる。

(1)シートベルト着用者率の向上
 平成21年中のシートベルト非着用者の致死率は、着用者の13倍以上であり、シートベルトの着用が交通事故の被害軽減に寄与していると認められる。シートベルト着用者率が5年以降ほぼ毎年向上していることが、自動車乗車中の死者数が減少している一因であると考えられる。
 
図3-3 シートベルト着用者率及び致死率(自動車乗車中)の推移(平成12~21年)
図3-3 シートベルト着用者率及び致死率(自動車乗車中)の推移(平成12~21年)
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(2)事故直前の車両速度の低下
 平成21年中の80キロメートル毎時を超える高速の事故での死亡事故率は、80キロメートル毎時以下の49.7倍である。こうした高速走行の事故が減少していることが、死者数が減少している一因であると考えられる。
 
図3-4 一般道における危険認知速度別交通事故件数の推移(平成12~21年)
図3-4 一般道における危険認知速度別交通事故件数の推移(平成12~21年)
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(3)悪質性・危険性の高い事故の減少
 平成21年中の飲酒運転や最高速度違反による事故の死亡事故率は、全体と比べると飲酒運転が7.8倍、最高速度違反が18.8倍と高くなっている。これら悪質性・危険性の高い事故が減少していることが、死者数が減少している一因であると考えられる。
 
図3-5 飲酒運転・最高速度違反による交通事故の構成率及び死者数の推移(平成12~21年)
図3-5 飲酒運転・最高速度違反による交通事故の構成率及び死者数の推移(平成12~21年)
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(4)歩行者の法令遵守
 平成21年中の違反のある歩行者の致死率は、違反のない歩行者の2.9倍である。近年、歩行中の死傷者数に占める違反のある者の割合が減少傾向にあり、これが、歩行中の死者数が減少している一因であると考えられる。
 
図3-6 歩行中死傷者(1当及び2当)の違反構成率及び歩行中死者・死傷者数の推移(平成12~21年)
図3-6 歩行中死傷者(1当及び2当)の違反構成率及び歩行中死者・死傷者数の推移(平成12~21年)
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 第1節 平成21年の交通事故情勢

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