第2章 組織犯罪対策の推進 

2 マネー・ローンダリング対策の状況

(1)マネー・ローンダリング事犯の検挙状況
 最近5年間のマネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、表2-11のとおりである。
 平成21年中に検挙した事犯のうち暴力団構成員等が関与したものは94件である。これを前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては、詐欺が19件、ヤミ金融事犯が17件、売春防止法違反等が17件となっているが、その他にも、窃盗、わいせつ物領布等事犯、賭(と)博等と多様であり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリング行為を行っている実態がうかがわれる(21年中の来日外国人によるマネー・ローンダリング事犯については、特集第1節3参照)。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリング行為の対象となる犯罪

 
表2-11 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
表2-11 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
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(2)犯罪収益のはく奪
 犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するため、これをはく奪することが重要である。犯罪収益の没収・追徴は、裁判所の判決により言い渡されるが、没収・追徴の判決が言い渡される前に、犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、警察では、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用して没収・追徴の実効性を確保している。
 第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、表2-12のとおりである。また、起訴前の没収保全命令の発出状況は、表2-13のとおりである。
 
表2-12 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成16~20年)
表2-12 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成16~20年)
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表2-13 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成17~21年)
表2-13 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成17~21年)
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 第3節 犯罪収益対策

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