第2章 組織犯罪対策の推進 

2 警察の薬物対策

(1)供給の遮断
 我が国で乱用されている薬物の大半が海外から流入していることから、これを水際で阻止するため、税関、海上保安庁等の関係機関との連携を強化するとともに、外国の取締機関等との情報交換を緊密に行っている。
 また、薬物犯罪組織の壊滅を図るため、コントロールド・デリバリー(注1)、通信傍受等の効果的な捜査手法を活用した捜査を推進している。さらに、薬物犯罪組織に資金面から打撃を与えるため、麻薬特例法の規定に基づき、業として行う密輸・密売等(注2)やマネー・ローンダリング行為の検挙、薬物犯罪収益の没収・追徴等の対策を推進している。

注1:取締機関が規制薬物等の禁制品を発見しても、その場で直ちに検挙・押収することなく、十分な監視の下にその運搬を継続させ、関連被疑者に到達させてその者らを検挙する捜査手法
 2:通常の密輸・密売等より重く処罰することができ、また、一連の行為を集合犯としてとらえ、その間の薬物犯罪収益の総体が没収・追徴の対象となる。

 
表2-7 コントロールド・デリバリーの実施件数の推移(平成12~21年)
表2-7 コントロールド・デリバリーの実施件数の推移(平成12~21年)
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表2-8 麻薬特例法違反(業として行う不法輸入等)事件数の推移(平成12~21年)
表2-8 麻薬特例法違反(業として行う不法輸入等)事件数の推移(平成12~21年)
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(2)需要の根絶
 薬物乱用は、乱用者自身の精神・身体をむしばむばかりではなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあり、社会の安全を脅かすものである。警察では、末端乱用者の検挙を徹底するとともに、広報啓発活動を行い、薬物の有害性・危険性についての正しい知識の周知を図っている。
 
薬物乱用防止キャンペーン::
薬物乱用防止キャンペーン
 
表2-9 薬物常用者による犯罪の検挙人員(平成20、21年)
表2-9 薬物常用者による犯罪の検挙人員(平成20、21年)
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コラム2  芸能界等からの違法薬物一掃に向けた取組みへの協力

 平成21年中は、著名な芸能人・スポーツ関係者による薬物事犯が相次いで発生した。警察では、関連団体との連携を強化し、芸能界等に対し、薬物乱用根絶・撲滅の講習会等に講師を派遣するなど積極的な支援を行うとともに、警察等が実施する各種広報啓発活動に対する参加を呼び掛けている。

 第2節 薬物銃器対策

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