第4節 少年の非行防止と健全育成
1 少年非行の概況
(1)少年非行情勢
平成21年中の刑法犯少年の検挙人員は、6年連続で減少し、前年に続き10万人を下回った。しかし、同年齢層人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員は成人の5.4倍で、いまだ高い水準にある。
21年中の触法少年の補導人員は、前年まで減少していたものが増加に転じた。不良行為少年の補導人員は前年より減少したものの、14年以降100万人を越える状態が続いている。
・21年中の刑法犯少年の検挙人員・・・9万282人(前年比684人(0.8%)減少)
・21年中の刑法犯総検挙人員に占める少年の割合・・・27.1%(前年比0.3ポイント上昇)
・21年中の同年齢層の人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員・・12.4人(前年と同じ)
図1-60 刑法犯少年の検挙人員・人口比の推移(昭和24~平成21年)
表1-25 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成12~21年)
表1-26 不良行為少年の補導人員の推移(平成12~21年)
事例
男子中学生(13)は、21年7月、自宅で就寝していた実父の頸(けい)部をナイフで突き刺すなどして殺害した。同月、少年を殺人罪で児童相談所へ送致した(島根)。
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(2)平成21年中の少年非行の主な特徴
〔1〕 刑法犯少年
平成21年中に検挙した少年の包括罪種別検挙人員は表1-27のとおりであり、窃盗犯、知能犯及び風俗犯が前年より増加した。また、社会の耳目を集めるような、少年による重大な事件が続発した。
表1-27 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成12~21年)
事例1
男子高校生(17)は、21年6月、通学途中の駅ホームにおいて、同級生(18)の腹部等を包丁で突き刺して殺害した。同月、少年を殺人未遂罪で逮捕し、殺人罪で送致した(奈良)。
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事例2
男子高校生(16)は、在学する高等学校において、手製爆弾を爆破させ、同級生を殺害することを企て、爆弾の製造原料等を購入し、一部に加工を施すなど、爆弾を使用し殺害の実行に着手できる程度に準備を整えた。21年2月、少年を殺人予備罪で逮捕した(北海道)。
被疑者宅から押収した爆発物製造の原料等
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〔2〕 再犯者
21年中の刑法犯少年の再犯者数は6年連続で減少したが、再犯者の人口比(注)は3.9と、成人の再犯者の人口比(1.1)の3.5倍となっている。
図1-61 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成12~21年)