第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

5 交番・駐在所の活動

 交番・駐在所では、パトロールや巡回連絡等の様々な活動を通じて、管轄する地域の実態や地域住民の要望を把握し、地域住民の要望にこたえている。また、昼夜を分かたず常に警戒体制を保ち、様々な警察事象に即応する活動を行うことにより、地域住民の安全と安心のよりどころとなり、国民の身近な不安を解消する機能を果たしている。
 平成22年4月1日現在、全国に交番は6,232か所、駐在所は6,847か所設置されている。

(1)パトロール、立番等

〔1〕 パトロール
 地域警察官は、パトロールを強化してほしいという国民からの要望にこたえ、事件・事故の発生を未然に防ぐとともに、犯罪を検挙するため、犯罪の多発する時間帯・地域に重点を置いたパトロールを行っている。パトロールに当たっては、不審者に対する職務質問、危険箇所の把握、犯罪多発地域の家庭や事業所に対する防犯指導、パトロールカードによる情報提供等を行っている。
 
パトロール
パトロール

〔2〕 立番等による警戒
 地域警察官は、交番、駐在所等の施設の外に立って警戒に当たる立番を行っている。また、駅、繁華街等の人が多く集まる場所や犯罪が多発している場所において、一定の時間立って警戒する駐留警戒等を行っている。
 
立番
立番

〔3〕 職務執行力の強化
 警察では、地域警察官の職務執行力を強化するため、職務質問、書類作成等の能力向上を目的とした研修・訓練を実施するとともに、卓越した職務質問の技能を有する者を選抜して、警察庁指定広域技能指導官又は都道府県警察の職務質問技能指導員として指定し、実践的な指導等を通じて地域警察官全体の職務質問技能の向上に努めている。
 平成21年中の地域警察官による刑法犯検挙人員は28万4,277人と、警察による刑法犯の総検挙人員の85.4%を占めている。

〔4〕 交番相談員の活用
 22年4月1日現在、全国で約6,200人の交番相談員が配置されている。交番相談員は、警察官の身分を有しない非常勤の職員であり、地域住民の意見・要望等の聴取、拾得物・遺失届の受理、被害届の代書及び預かり、事件・事故発生時の警察官への連絡、地理案内等の業務に従事しており、その多くは、経験や知識を有する退職警察官である。
 
交番相談員
交番相談員

(2)地域住民と連携した活動

〔1〕 巡回連絡
 地域警察官は、担当する地域の家庭、事業所等を訪問し、犯罪の予防、災害・事故の防止等、地域住民の安全で平穏な生活を確保するために必要な事項の指導・連絡や、地域住民からの意見・要望等の聴取を行う巡回連絡を行っている。
 
巡回連絡
巡回連絡

〔2〕 交番・駐在所連絡協議会
 平成22年4月1日現在、全国の交番・駐在所に1万2,823の交番・駐在所連絡協議会が設置されている。そこでは、地域警察官が、地域住民と地域の治安に関する問題について協議したり、地域住民の警察に対する意見・要望等を把握したりすることにより、地域社会と協力して事件・事故の防止等を図っている。

〔3〕 情報発信活動
 地域警察官は、地域の身近な出来事や事件・事故の発生状況を記した「ミニ広報紙」を作成し、自治会を通じて回覧するなどの活動により、地域住民に対し管轄地域の事件・事故の発生状況やその防止策等の身近な情報を伝えている。

(3)交番機能の強化
 パトロールの強化等により生じていた「空き交番」(注1)の解消のため、地域住民の理解を得ながら取組みを進めてきた結果、平成19年4月1日までに、「空き交番」は解消された。警察では、今後とも治安情勢の変化等により「空き交番」が生じることがないよう努めるとともに、引き続き、交番機能の強化に努めることとしている。

注1:地域警察官の不在が常態化している交番


(4)遺失物の取扱い
 警察では、拾得物を速やかに遺失者に返還するため、拾得物・遺失届の受理業務を行っている。平成21年中に届出のあった拾得物は、特例施設占有者保管分(注2)を含め約1,820万点に上っており、警察に提出された拾得物のうち、通貨については約91億円が、物品については約654万点が遺失者に返還されている。

注2:一定の公共交通機関又は都道府県公安委員会が指定した施設占有者(特例施設占有者)は、拾得物に関する事項を警察に届け出たときは、その物件を自ら保管することができる。

 
図1-42 遺失物の取扱いの流れ
図1-42 遺失物の取扱いの流れ
 
表1-13 拾得物・遺失届の取扱い状況の推移(平成17~21年)
表1-13 拾得物・遺失届の取扱い状況の推移(平成17~21年)
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 第2節 犯罪の検挙と抑止のための基盤整備

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