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トピックスI 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」について

 治安を再生させるためには、警察による取組みだけでは十分ではありません。「世界一安全な国、日本」の復活を目指して、国民の皆様の協力を得ながら、関係機関・団体等と連携し、総合的な取組みを推進していきます。

 警察庁では、犯罪の増加の基調に早急に歯止めを掛け、国民の不安を解消するため、平成15年8月、「緊急治安対策プログラム」を策定・公表し(注1)、また、同プログラムを補完・加速化し、治安再生への道筋を確実なものとするため、18年8月、「治安再生に向けた7つの重点」を策定・公表しました(注2)
 しかしながら、「世界一安全な国、日本」を復活させていくためには、警察による取組みだけではなく、官民の連携や様々な行政分野の連携が必要不可欠です。政府では、20年12月、犯罪を起こさせないためのより広範な政策を総合的かつ持続的に講じていくため「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」(以下「新行動計画」といいます。)を策定しました。
 警察では、真の治安再生を実現するため、新行動計画に基づく取組みを強力に推進していきます。

注1:平成19年7月、盛り込まれた施策について政策評価を行い、政策の効果を様々な角度から明らかにしました。
 2:平成20年4月、盛り込まれた施策が的確に推進されてきたことを確認しました。


(1)犯罪対策閣僚会議の取組み
〔1〕 犯罪対策閣僚会議の開催とその考え方
 治安情勢が危険水域に達し、国民が強い不安感を抱くようになったことを背景に、政府全体としての犯罪対策を進めることの重要性が認識されました。そこで、「世界一安全な国、日本」の復活を目指し、政府では、平成15年9月から、首相が主宰し、全閣僚を構成員とする犯罪対策閣僚会議を開催しています。犯罪対策全般を幅広く取り扱う総合的かつ省庁横断的な枠組みが設けられたのは犯罪対策閣僚会議が初めてです。
 この会議で示された「治安回復のための3つの視点」は、個々の施策を立案・実施・評価するための視座を提供するだけでなく、総合的で包括的な犯罪対策を実現するための理念としても機能しています。
 
図I-1 治安回復のための3つの視点
トピックス 図I-1 治安回復のための3つの視点

〔2〕 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」に基づく取組み
 この3つの視点を前提としつつ、15年12月に開催された第2回犯罪対策閣僚会議において、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」(以下「旧行動計画」といいます。)が策定されました。旧行動計画では、計画策定後5年間を目途に、国民の治安に対する不安感を解消し、犯罪の増勢に歯止めを掛け、治安の危機的状況を脱することを目標として、各施策を着実に実施していくこととされました。
 旧行動計画に沿って、関係機関連携の下での犯罪の取締りや水際対策の強化、刑法を始めとする各種治安関係法令の改正、地方警察官等の増員等の施策が着実に講じられ、地方公共団体や地域住民、関係事業者等の間でも、これに呼応した取組みが積極的に行われました。

(2)「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」の策定
〔1〕 策定の経緯
 平成20年6月に開催された第11回犯罪対策閣僚会議において、14年に約285万件と戦後最悪を記録した刑法犯認知件数が19年には約191万件と10年ぶりに200万件を下回るとともに、検挙率が19年には31.7%まで回復するなど、旧行動計画策定後5年間の取組みにより一定の成果が上がったことが確認されました。
 他方で、最近の治安情勢として、国民にとって身近な犯罪である振り込め詐欺の被害額が過去4年間でほとんど減少していないこと、凶悪な事件が相次いで発生していることなどが報告されたほか、国民が依然として犯罪に対して不安を感じていることを示す世論調査等が報告されました。
 このような情勢を踏まえ、首相から、各閣僚に対し、旧行動計画に代わる新たな行動計画を策定するよう指示がなされました。この指示を受けて、各省庁において新たな行動計画に盛り込むべき施策の検討が行われるとともに、有識者ヒアリングが10回にわたり実施され、また、広く国民の皆様の御意見を伺うため、意見公募手続が実施されました。
 そして、20年12月に開催された第12回犯罪対策閣僚会議において、新行動計画が策定されました。
 
第12回犯罪対策閣僚会議(提供:内閣広報室)
トピックス 写真 第12回犯罪対策閣僚会議(提供:内閣広報室)

〔2〕 新行動計画の内容
 新行動計画では、15年に示された「治安回復のための3つの視点」は、治安再生への取組みを更に推し進めていく上で今後とも重要であり、社会情勢の変化に応じて有効な犯罪対策を講じていくために維持すべきものとされました。
 新行動計画は、犯罪対策の推進に関する政府の基本的な考え方を示した前文と、現下の犯罪情勢の特徴的傾向に即した7つの重点課題ごとに取りまとめられた総計172項目(重複項目を含む。)の個別施策から成っています。前文では、治安関係機関による取締りだけでなく、犯罪が発生する原因及び社会的背景を踏まえて、犯罪を起こさせないためのより広範な政策を総合的かつ持続的に講じていくことが、中長期的な治安の改善に資するものとされ、社会における相互信頼の醸成を目指すことにより、社会の安全と安心は大きく向上するという考え方が示されました。
 新行動計画は、計画策定後5年間を目途に、犯罪を更に減少させ、国民の治安に対する不安感を解消し、真の治安再生を実現することを目標としています。
 警察では、国民の皆様の協力を得ながら、関係機関・団体等と連携し、新行動計画に基づく取組みを強力に推進していきます。
 
図I-2 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」における7つの重点課題
トピックス 図I-2 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」における7つの重点課題
 
外国人による地域での防犯活動
トピックス 写真 外国人による地域での防犯活動

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